2015年5月19日付

医療関係者の皆様へ

一般社団法人 日本内科学会
理事長 小池 和彦

皆様におかれましては、ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。

 

2020年東京においてオリンピックが開催されることが決まってから、喫煙・受動喫煙防止に関する話題が新聞やTVに取り上げられることが増えています。

国際的には、平成17年2月にWHOたばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約(FCTC)が発効しており、我が国もその締約国となっています。FCTCの目的は「たばこの消費及びたばこの煙にさらされることが健康、社会、環境及び経済に及ぼす破壊的な影響から現在及び将来の世代を保護すること」であり、「喫煙率の低下」と「受動喫煙の防止」の対策をすすめることは、FCTC締約国の責務であり、国民を守るために極めて重要かつ喫緊の課題です。こうした中、「健康日本21(第2次)」の中には、「喫煙率については、平成34年(2022)年度までに、禁煙希望者が禁煙することにより成人喫煙率を12%とすることと、妊婦及び未成年者の喫煙を0%とする」と記載されています。このように喫煙率の目標値が明確に盛り込まれることは非常に重要ですが、禁煙を希望する喫煙者が全員禁煙出来ることは簡単ではなく、個人の意志の力による禁煙の成功率は5%程度とされていますので、その達成は簡単ではありません。

 

我々医師は、日々の診療において、心疾患、脳卒中などを予防するために高血圧や高脂血症の患者さんには治療を当然のように行いますが、喫煙も同様に考え、喫煙している患者さんには禁煙を推奨し、禁煙する意志のある患者さんには禁煙治療を提供することが大切です。本邦では「喫煙は、ニコチン依存症+喫煙関連疾患という全身疾患」・「喫煙者は積極的治療を必要とする患者」という考え方の基、2006年からニコチン依存症患者に対する禁煙治療が保険償還の対象となっています。これを機に、一人でも多くの先生方に禁煙治療を実施いただき、より多くの禁煙を望む喫煙者を禁煙へと導いていただければ幸いです。

謹白

参考

◇22学会禁煙推進学術ネットワーク
http://tobacco-control-research-net.jp/
◇J-STOP:禁煙治療・禁煙支援を実施するために必要なスキル習得を目的としたe ラーニング
https://www.j-stop.jp/
◇禁煙治療をはじめるにあたっては、「禁煙治療の標準手順書 第6版」
http://www.j-circ.or.jp/kinen/anti_smoke_std/