2008年3月19日付

旧 「内科専門医」 ⇒ 新 「総合内科専門医」

主 旨

この度,日本内科学会認定「内科専門医」を「総合内科専門医」と呼称変更を行うこととなった.内科専門医制度は,これが設立された昭和43年当時においては,内科系唯一の専門医制度であり,その後,内科系医師のレベル向上とキャリア形成に多大な貢献をしてきた.近年,多くの内科系サブスペシャリティーの専門医制度が設立され,各学会と専門医認定制協議会・専門医認定制機構での議論と調整を経て,「認定内科医」を取得後3年以上の研修終了後に,専門医試験を受験するという2階建て制度が確立された.しかしながら,「認定内科医」にプライマリーケアの要素が組み込まれるに至って,専門医認定制機構から「認定内科医」と「内科専門医」の位置づけを明確にすることを求められた.そこで,昨年,本会認定医制度審議会で議論を重ね,理事会の承認を得て,「内科専門医の医師像,適正数」を公表した.この「内科専門医の医師像,適正数」は,後述の内科学の普遍的原理と「内科専門医」の構成と社会で果たしている役割などの現実の調和によって,「内科専門医」のあるべき医師像と社会的必要数を具体化した.これについては専門医認定制機構からは一定の評価を得ることができた.しかし,「内科専門医の医師像」の概念が,「内科専門医」の名称からは判り難く,若干の乖離があると再度指摘を受けることとなった.その後,本会内部での議論と専門医認定制機構との協議の結果,2階建て制度におけるサブスペシャリティー専門医,さらに認定内科医との関連を考慮すると,現在の「内科専門医」は,サブスペシャリティー(臓器)横断的な機能を果たす専門医として,「総合内科専門医」と称するのが適当と結論され,12月11日の本会理事会にて決定された次第である.

 

本来,内科医は患者を全身的,全人的な観察から体系的に把握し,科学(医学)的に解析し,病態と病因を解明した上で,最適な治療を選択することが一義的な役割である.また,最新・最良の医学的妥当性,疫学的根拠(エビデンス)と医療倫理・医療経済などの社会的配慮を根拠として,最新・最良の生活療法や薬物療法を中心とする治療を提供・実践するのは内科医の第2の役割である.この過程で,「病状を正確に観察し記述する,病気よりも病人の現状を全体としてとらえ,将来の経過を正しく予知しようとする」というヒポクラテスの考え方は,現代においても内科の普遍的原理である.特に,近年の高齢化社会の到来と生活様式の変化に伴って,生活習慣病などの多臓器に同時に疾病を持つ全身性の慢性疾患が内科診療の中心となった.各臓器別のサブスペシャリティー領域での高度な医療と共に,全人的な観点で診療する総合内科的視点の重要性は益々高まっている.「総合内科専門医」が,名実ともに,総合内科的機能を今後の日本の医療において果たすことを強く期待するものである.

社団法人日本内科学会

理事長 永井 良三

参照:「総合内科専門医」の医師像と適正な医師数