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利益相反(COI)-Q&A 1

日本内科学会のCOI指針・細則の策定とその後の運用に関するQ & A

改定中

(平成22年3月 現在)

 

1.医学研究に係る利益相反について

Q1:産学連携で医学研究を行う場合、何故、利益相反が問題になるのですか?

A1:人間を対象とする医学研究を産学連携で行う場合に考慮を要するのは、他の領域の産学連携研究とは異なり、医学研究の対象・被験者として健常人、患者などの参加が不可欠であるという点であります。したがって産学連携より医学研究に携わる者には、一方において研究者として資金及び利益提供者である製薬企業などに対する義務が発生し、他方においては被験者の生命の安全、人権擁護をはかる職業上の義務が存在します。同一人におけるこのような二つの義務の存在は、単に形式的のみならず、時には実質的にも相反し、対立する場面が生ずることになります。1人の研究者をめぐって発生するこのような義務の衝突、利害関係の対立・抵触関係がいわゆる利益相反(Conflict Of Interest : COI)と呼ばれる状態です。換言すれば産学連携で行われる医学研究は形式的に見るかぎり、ほとんど利益相反の状態にあると云えます。

Q2:医学研究とは漠然としていますが、具体的にはどこまでの研究をいうのでしょうか?

A2:「医学研究」とは、医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される医学系研究であって、ヒトを対象とするものをいいます。ヒトを対象とする医学系研究には、個人を特定できるヒト由来の試料および個人を特定できるデータの研究を含むものとします。個人を特定できる試料またはデータに当たるかどうかは厚生労働省の「医学研究に関する倫理指針」(平成20年7月31日全部改訂)に定めるところによるものとします。

Q3:欧米では、医学研究のCOI自己申告はどのようになっているのでしょうか?

A3:多くの学会では、演題発表の時とか、学会雑誌へ発表する場合にCOI自己申告書の開示が義務付けけられています。

Q4:産学連携により実施されるのは医学研究だけでなく、基礎研究でも広く行われています。基礎研究はCOI申告の対象からはずしてよいのでしょうか?(細則 第1条 第2項に関連)

A4:国の政策として、基礎研究で得られたシーズを臨床へ橋渡しをするトランスレーショナルリサーチが積極的に推進されており、当然に産学官の連携も活発化しております。このような背景の中でどこまでが基礎研究で、どこからが医学研究であるかの定義は難しくなっております。基本的な考え方として、産学連携により行われている研究が基礎的なもの(前臨床試験、人体血液や生体サンプルの解析など)であっても、その成果が臨床での診療(予防法、診断法、治療法など)に影響を与え、資金提供をしている企業や営利団体の利害と関係する事が想定される場合には関係企業とのCOI状態を開示しておくことが望ましいと考えます。何故なら、産学連携による基礎研究成果に疑義が生じても、適正に申告されておれば、学会としても研究者の立場から適切に説明責任を果たすことが可能となるからです。

Q5:COIの管理は本来,研究者が所属する機関・施設で行うものと理解していましたが、学会のCOIマネージメント(管理)とはどのようなものですか?

A5:会員の多くは所属施設で医学研究を実施し、得られた成果を各専門学会で発表します。産学連携にて行われる医学研究の実施とその発表という2つのステップがあり


図3 産学連携による臨床研究と研究者に発生する利益相反状態

※クリックして拡大。別ウィンドウで開きます

それぞれにおいて透明性、公明性が求められることから、所属機関・施設だけでなく、学会発表においてもCOI状態の開示が求められると理解して下さい。所属機関・施設に対しては、当該医学研究に携わる研究者全員が実施計画書と同時にCOI自己申告書を施設長へ提出し、当該施設においてCOIマネージメントを受けることが求められております(文部科学省・医学研究の倫理と利益相反に関する検討班「医学研究の利益相反ポリシー策定に関するガイドライン」)。一方、日本内科学会のCOI指針・細則は、本学会が行うすべての事業を対象に、これを行う学会関係者のCOI状態を自己申告によって開示させ、これにより学会関係者の社会的・倫理的立場や責務を明確にすることを目的としております。

Q6:産学連携による医学研究を行う上で、COIの観点から研究者が遵守すべきこととは何ですか?

A6:医学研究に携わる研究者としての義務と医療専門家である医師としての義務が同一研究者に課せられますが、これら二つの義務の対立が現実化した場合、医療専門職にある研究者は、対象である被験者の人権擁護者としての立場を最優先し、被験者の利益のために最善を尽くすべきことは当然と考えられています。したがって、資金提供者の利益のために、またさらに自分の利益維持のために研究の方法、データの解析、結果の解釈を歪めるようなことが、絶対あってはならないし、社会的にも許されない行為と言えます。

Q7:医学研究を行ったり、その成果を発表したりする場合、企業からの資金提供が悪いような印象を受けますが・・・

A7:そうではありません。国策として科学技術基本計画が推進されており、企業から正当な報酬を受けることや、医学研究の推進にむけて資金援助をして貰うこと自体は全く問題はありません。それらの事実をきちんと大学などの施設や、学会などの学術団体が透明性を確保して正確に把握しておくことが重要であり、産学連携による医学研究の実施に疑義があると指摘され、研究者が誹謗中傷された時に、あらかじめ自己申告により正しい情報が既に開示されておれば、学会として社会への説明責任を果たし、適切に対応することが可能になります。

Q8:COI状態の開示を義務つけることは、企業との産学連携活動を阻害することにつながるのではないですか?

A8:COI状態の開示は、あくまで自己申告に基づくものであり、産学連携活動を規制したり、個人への正当な報酬などを減じるための取り組みをしようとするものではありません。
医学研究を発展させるには、産学連携を透明性、公明性を持って推進することが重要と考えており、適切に医学研究が行われ、その成果が適正に公表されることが、現場での医療改善に結びつくと考えられています。

Q9:日本内科学会のCOI指針・細則を守れば、法的責任は回避できますか?

A9:本指針や施行細則は、あくまでも学会の事業活動を公明性、中立性を担保に実施するために制定されたものであり、この指針などに従ったからと言って、法的責任を回避することにはなりません。また、申告内容の真偽、申告外の利益取得、申告書の保管期限経過後に発生した問題などにおいては法的責任を問われる可能性はあります。一般的に言えることですが、学会の指針や規則・細則には、その上位にある「法令」の適用を回避させる効力がないことを理解下さい。

 

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