病歴要約の解説
病歴要約を提出することにより,受験者は以下の能力,姿勢を示すことができる.
即ち
- バランスのとれた研修歴
- 診療能力
- 要約能力(症例提示能力)
- 診療に取り組んでいる態度
である.
- バランスの取れた研修歴として,各自がそれぞれのsubspecialtyにおいて研修した代表的な症例,即ち診断や治療に難渋した症例,あるいは教訓を得た症例を提示することが望まれる.
現在の研修の中で全てのsubspecialtyを各専門医のもとで研修することができない等の理由で副病名としての症例を提出する時にも,上記の内容を伴う必要がある.
- その疾病についての診療能力を示すものは,病歴要約上ではどのような情報をもとに、どのように診断・治療して、どのような転帰になったかが明瞭に記載されているかどうかに係っている.
- 要約能力ではどのような症例でも同一の様式で、指定された一定のスペースの中に記載されることが求められる.平成16年度義務化された初期臨床研修で,診療録・退院時サマリーをPOSに従って記載することが目標に示された.
従って本病歴要約もPOSに準拠すべきであるが,POSといっても病歴要約の書き方について統一の規範があるわけではない.
ここでは
- プロブレム毎に叙述する様式
- 経時的に叙述する様式,
- 入院後経過を確定診断毎に叙述する様式
を紹介した.
いずれの書き方にも一長一短がある.
経時的に叙述すると様々な病態が混在して、複雑な病態の症例では理解が容易でなくなる一方,プロブレム毎にまとめる様式では相互の病態関係がそのままでは分かりにくくなる.
様式についてはこれらのいずれでも良しとするが,それぞれの病態について必要十分な情報が論理的にかつ正確に記載されていて,第三者が一読することでその症例を理解できるかどうかが最も重要であり,このことが評価の対象となる.
このためにはsubspecialtyの知識を十分に有していて,その上で患者の病態の全体像を捉えられているか,医療の継続性に配慮しているか,などが問われることになる.
入院時の所見,検査も全てを網羅的に記載する必要はない.基本的,必須項目が(否定要件も含めて)選択され記載されているかどうかが問われる.
総合考察では,単に症例の感想を述べるのではなく,文献を引用し,症例を客観的に評価することができているかどうかが評価される.
- 診療に取り組んでいる態度はこれらがどれだけ濃密に描かれているかで評価されるが,ただ仔細なデータが書いてあれば良いというものではない.
生活社会歴やパーソナリティ,患者の個々の事情など全人的な視点で俯瞰しながら,優先順位をどうつけ,問題解決していったかについての記述を加えることも重要である.
またこれは認定試験に提出する研修記録であることから,退院時要約そのものの提出を要求しているものではない.
誤字・脱字や単位の間違いなどは当然評価の対象となる.
診断名はICD-10などに準拠した標準病名であるべきである.