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腎臓

総合考察

本症例は花粉症の既往があり,発症直前に仕事で花粉に曝露しておりアレルギーの関与が疑われた.微小変化型と判断した.高度の浮腫や血管内脱水から腎不全を伴ってくるような場合はアルブミン点滴を併用する必要があるが,MCNSへのアルブミン投与は尿タンパク量を増加させ寛解を遅らせる可能性が指摘されている(小向,Medical Practice 21 783-787,2004).
(– 略 –)

総合考察

本症例は花粉症の既往があり,発症直前に花屋でのアルバイトで花粉に曝露しており,アレルギーの関与が疑われた.臨床経過と検査所見から微小変化型の可能性が最も高く,ステロイド治療に反応して劇的に改善した.小児のネフローゼ(微小変化型)では,血液量減少(濃縮)群と体液量増加群に分け,前者ではアルブミンとフロセミド投与,後者ではフロセミド単独投与を推奨している(Kapur G. Clin J Am Soc Nephrol 2009;4:907).組織の浮腫,特に脳浮腫が急速に進行する場合,過凝固による血栓傾向がみられる場合は,アルブミン投与が必要になる.ただし,アルブミンを投与した群では,寛解までの期間が長く,ステロイド治療に抵抗性となることが示されているので,アルブミン投与は臨床所見をみて判断する必要がある(Yoshimura A. Clin Nephrol 1992;37:109).
(– 略 –)

修正ポイント

◆(小向,Medical Practice 21 783-787,2004) ⇒ ピュアレビューのない商業雑誌のコピーであり、不適切な引用である.

血液

総合考察

びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対してR-CHOP療法を行った症例である.CHOP療法よりリツキサン追加療法の方が3年増悪生存率,3年総生存率が有意に高いと示されている.(PfreundschuhM(2006).“CHOP-like chemotherapy plus rituximab versus CHOP-like chemotherapy alone in young patients with good-prognosis diffuse-B-cell lymphoma:a randomised controlled trial by the MabThera International Trial(MinT) Group”.Lancet Oncol.7(5):379-91.本症例でもリツキサンを追加して化学療法を行った.

入院後経過と考察

(– 略 –)
R-CHOP療法は今日では初発DLBCLに対する標準的治療であり,18歳から60歳のage-adjusted IPIの予後因子0または1個、臨床病期Ⅱ-Ⅳ期または巨大病変を持つI期の824例を対象にした検討でも6コースのCHOP様化学療法にリツキシマブを併用することにより,3年無イベント生存と全生存が向上することが示されている(Pfreundschuh M. Lancet Oncol 2006;7:379). 本症例も合計6コースのR-CHOP療法を行う方針とし,1コース目の治療に対する反応は良好と判断した.American Society of Clinical Oncologyのガイドラインでは,悪性リンパ腫患者へのG-CSFの一次予防的投与は,65歳以上で特に合併症のある場合にのみ考慮されるべきとされており(Smith TJ. J Clin Oncol 2015;33:3199),本例でも一時予防投与は行わなかったが,今後は二次予防を考慮する必要がある.

修正ポイント

◆引用文献は適切と考えるが、考察はなされておらず記載事項は不十分である

膠原病

総合考察

成人Still病は,若年性特発性関節炎の全身型(Still病)と同様の病像が成人に発症したものである.1971年,Bywatersにより一つの疾患単位として初めて記載された.高熱,多関節痛および皮疹が特徴的で,その他,肝障害やリンパ節腫脹などの臓器病変を伴う原因不明の全身炎症疾患である.重症となるとHPSを合併することがある.発症は20~40歳代の比較的若年成人に多い.これまでのところ明確な証拠や特定できる病原体は明らかにされていない.免疫学的機序が関与していると考えられているが,現在のところ,関連した自己抗体や自己反応性リンパ球は同定されていない.リウマトイド因子や抗核抗体は陰性である.本疾患の病態形成に重要な役割を演じているのは,炎症性サイトカインであると考えられている.従来から報告のある血清中のインターフェロン-γ,インターロイキン-6,TNF-α,マクロファージ―コロニー刺激因子,IL-8等の増加に加え,最近では特にIL-18は産生の著名な亢進が注目されている.IL-18は活性化マクロファージによって産生され,他の炎症サイトカインを誘導することからAOSDの病態形成に最も中心的な役割をなすサイトカインであると考えられている.また,本疾患の血清中に著増するフェリチンの産生細胞もマクロファージや組織球である.これらのことから,本疾患の特徴的な症状や病態形成に主役を演ずるのは活性化マクロファージ,およびそれにより産生されるサイトカインであると考えられる.治療としては軽症例ではNSAIDsのみで軽快することもあるが,通常ステロイド投与が必要となることが多く,ステロイドの減量が困難な場合,ステロイド抵抗性の場合には免疫抑制剤が考慮される.本症例にはシクロスポリンを使った.妊娠希望であったが,シクロスポリン導入の際には妊娠が困難となる旨(奇形児の発生リスク上昇)を説明し,泣く泣くではあるが同意を得られた.

総合考察

 
成人Still病は重症化し,血球貪食症候群やDICを合併することがある.ステロイド大量療法に抵抗する場合,CyA療法(Mitamura M. Mod Rheumatol 2009;19:57)やシクロホスファミド療法を実施する.本症例はCyA療法が奏効した.本症例は妊娠希望であったがCyA療法を行った.CyAは添付文書では妊娠時禁忌となっている.今回の病態を改善できる薬で,妊娠時にも安全に使える他の薬は無いことを説明し,同意を得られた.ただCyAは妊娠中でも使用継続が不可欠である臓器移植後の患者での妊娠・出産の報告は多く,比較的安全であるという意見もある(Bar Oz B.Transplantation 2001;71:1051).日本産科婦人科学会の診療ガイドラインにおいても,CyAは特定の状況下では妊娠中であっても投与が必須かもしくは推奨されるとされている.今後CyAを中止できるかは現時点では不明であるが,しばらく治療をしてみて,妊娠を望むなら,その時点でもう一度主治医と相談するようにと説明をした.

修正ポイント

◆適切な文献を引用していない

病歴要約の修正例

・循環器症例 ・腎臓症例 ・神経症例 ・血液症例 ・膠原病症例