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利益相反(COI)-医学系研究の利益相反(COI)に関する共通指針

医学系研究の利益相反(COI)に関する共通指針
Policy of Conflict of Interest in Medical Research

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内科系関連学会(日本内科学会、日本肝臓学会、日本循環器学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本呼吸器学会、日本血液学会、日本アレルギー学会、日本感染症学会、日本老年医学会)

序文

医学、医療の進歩は20世紀後半から21世紀にかけてめざましく、多くの新しい治療法、予防法を創出している。 2014年には、国策として「健康・医療戦略推進法」及び「独立行政法人日本医療研究開発機構法」の制定を受けて、2015年4月には独立行政法人日本医療研究開発機構が設立され、画期的な医薬品、生物製剤、医療機器の開発に向けた戦略的な取り組みが産学官の連携を軸に本格化している。

内科系関連上記学会(以下、本学会と略す)は、人間(試料・情報を含む。)を対象として、疾病の成因の究明および病態の理解や、疾病の予防や医療における診断方法および治療方法の有効性の検証またはその改善を通じて、国民の健康の保持増進または患者の予後若しくは生活の質の向上に資することを目的とした事業活動を行っている。産と学がより一層連携を推進していくことは、根拠に基づく医療および医療経済の観点からも極めて重要であり、社会的な責務を果たさなければならない。

公的な存在である研究機関、学術団体などの研究者が医学系研究を通して産学連携を積極的にすればするほど、特定企業の活動に深く関与することになり、その結果、研究者には公的な利益のための社会的な責務と、産学連携活動に伴い生じる個人が得る利益との間に衝突・相反する状態が必然的・不可避的に発生する。こうした状態が「利益相反(conflict of interest : COI)」と呼ばれるものであり、このCOI状態を学術機関・団体が組織として適切に管理(マネージメント)していくことが、産学連携活動を適切に推進するうえで乗り越えていかなければならない重要な課題となっている。医学系研究に携わる者が、資金提供者となる企業、団体などとの深刻なCOI状態を自ら適切に申告しないと、研究対象者の人権や生命の安全・安心が損なわれることが起こりうるし、研究の方法、データの解析、結果の解釈にバイアスがかかり歪められる恐れも生じる。事実、そのような事案として、2013年に、我が国の5大学を中心に実施された降圧薬バルサルタン臨床研究に対する質と信頼性にかかる疑惑問題が起こった。企業からの奨学寄附金やデータ管理・統計解析などの役務の受け入れが不透明で、バイアスリスクに対するマネージメントや契約などの適正な対応がなされておらず、人為的なデータ操作により企業側に有利な結論が導かれ、研究不正疑惑へと発展した。その結果、国際誌に公表された複数の論文が撤回され、国際的な信頼性が大きく損なわれた。このような事態を再発防止する観点も含めて、文部科学省・厚生労働省は臨床研究および疫学研究に関するそれぞれの倫理指針を統合した形で「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(告示2014年12月22日)」を公表し、特に介入研究の実施に対する研究機関の長および研究責任者の責務をより明確化し、倫理審査、モニタリング、監査、COI管理などの強化充実を求めている。一方、全国医学部長病院長会議は「研究者主導臨床試験の実施にかかるガイドライン」を2015年2月に公表し、特に承認薬を用いた侵襲性のある介入研究について、企画立案から臨床試験の適正な実施に係る手順(臨床試験の公的な登録、データ管理、統計解析、データ解釈、論文作成など)を具体的に示しており、企業の関わりを可能とした臨床試験の質と信頼性を確保するためのCOIマネージメントについても具体例を挙げて示している。

本学会は、医学系研究の質と信頼性を確保するために、本学会共通の利益相反指針を会員に徹底・遵守させることにより適切にCOI管理を行い、社会に対する説明責任を果たしていく。今回、国の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」との整合性と、内外のCOI管理に関する動向を踏まえて、本学会利益相反(COI)に関する全面改訂を行った。

 

I.目的

本学会は、産学連携にかかる医学系研究活動において、社会的責任と高度な倫理性が要求されていることに鑑み、「医学系研究の利益相反(COI)に関する共通指針」(以下、本指針と略す)を策定する。本指針の目的は、適正な産学連携の推進を基本として、会員などが医学系活動に取り組む過程で発生するCOI状態を適切に管理することにより、研究の実施や成果の発表、それらの普及・啓発などの活動におけるバイアスリスクを管理し、中立性と公正性を維持した状態で推進し、内科学に含まれる疾患の予防・診断・治療の進歩に貢献することにより社会的責務を果たすことにある。したがって、本指針では、会員などに対してCOI管理についての基本的な考えを示し、本学会の会員などが各種事業に参加し発表する場合、自らのCOI状態を自己申告によって適正に開示し、本指針を遵守することを求める。なお、会員が所属する研究機関等の就業規則、COI指針等を遵守すべき事は言うまでもない。

COI管理の基本的な考え方として、研究機関及び研究者は、

1)産学連携にかかる医学系研究の実施に関して倫理性、医学性、科学性の担保を前提に、利害関係にある企業、法人、団体、個人等からの外部資金源(寄附金または契約による研究資金)、医薬品・機器、及び役務等を必要に応じて契約(対価や成果責任の明確化)により適正に受け入れ医学系研究を実施する。しかし、成果責任を取らないとする企業等から外部資金を調達する場合、研究者主導の臨床研究結果の解釈や公表の過程に資金提供者が影響力の行使を可能とする契約等の締結は、研究の独立性、公明性を損なうことから避けなければならない。

2)当該研究成果の質と信頼性を確保するために、提供された内容等について適切に開示し、問題となるCOI状態が発生しない様に予め管理する。それらの情報を研究実施計画書、IC文書、COI申告書および論文内に的確に記載し公開する。

3)社会から疑義を指摘されれば、関係企業とともに説明責任を果たさなければならない。

 

Ⅱ.対象者

COI状態が生じる可能性がある以下の対象者に対し、本指針が適用される。
(1)本学会会員
(2)本学会の学術講演会などで発表する者(非会員も含む)
(3)本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術講演会担当責任者(会長など)、各種委員会の委員長、特定の委員会(学術集会運営委員会、学会誌編集委員会、倫理・医療安全委員会、利益相反委員会など)委員、暫定的な作業部会(小委員会、ワーキンググループなど)の委員
(4)本学会の事務職員
(5)(1)~(4)の対象者の配偶者、一親等の親族、または収入・財産を共有する者

 

Ⅲ.対象となる活動

本学会が行うすべての事業活動に対して本指針を適用する。

(1)学術講演会(年次総会含む)、支部主催学術講演会などの開催
(2)学会機関誌、学術図書などの発行
(3)研究および調査の実施
(4)研究の奨励および研究業績の表彰
(5)認定医・専門医および認定施設の認定
(6)生涯学習活動の推進
(7)関連学術団体との連絡および協力
(8)国際的な研究協力の推進
(9)社会に対する内科学の進歩と普及及び医療への啓発活動<
(10)その他目的を達成するために必要な事業(例、臨時に設置される調査委員会、諮問委員会などでの作業など)

特に、下記の活動を行う場合には、所定の様式に従って、発表時には発表内容に関連する企業との過去3 年間におけるCOI状態が所定の様式に従い開示されなければならない。

①本学会が主催する学術講演会(以下、講演会など)などでの発表

②学会機関誌などの刊行物での発表

③診療ガイドライン、治療指針、マニュアルなどの策定

④当該分科会の事業活動と関係のない学術活動や講演会、座談会、ランチョンセミナー、イブニングセミナー(企業主催・共催などを問わず)などでの発表

なお、発表演題に関連する「医学系研究」とは、医療における疾病の予防方法、診断方法および治療方法の改善、疾病原因および病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される基礎的並びに臨床的研究であって、倫理審査の対象となる医学系研究をいう。人間を対象とする医学系研究には、個人を特定できる人間由来の試料および個人を特定できるデータの研究を含むものとし、文部科学省・厚生労働省の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(2014年12月22日公表)に定めるところによるものとする。

 

IV.「医学系研究に関連する企業・法人組織、営利を目的とする団体」とは、医学系研究に関し次のような関係をもった企業・組織や団体とする。

(1)医学系研究を依頼し、または、共同で行った関係(有償無償を問わない)
(2)医学系研究において評価される療法・薬剤、機器などに関連して特許権などの権利を共有している関係
(3)医学系研究において使用される薬剤・機材などを無償もしくは特に有利な価格で提供している関係
(4)医学系研究について研究助成・寄附などをしている関係
(5)医学系研究において未承認の医薬品や医療器機などを提供している関係
(6)寄附講座などの資金源となっている関係

V.COI自己申告の項目と開示基準

対象者は、個人における以下の(1)~(9)の事項で、開示基準額を超える場合には、所定の様式に従って申告するものとする。なお、COI自己申告に必要な金額は、以下のごとく、各々の開示すべき事項について基準を定めるものとする。

(1)医学系研究に関連する企業・法人組織や営利を目的とした団体(以下、企業・組織や団体という)の役員、顧問職については、1つの企業・組織や団体からの報酬額が年間100万円以上とする。

(2)株式の保有については、1つの企業についての1 年間の株式による利益(配当、売却益の総和)が100万円以上の場合、あるいは当該全株式の5%以上を所有する場合とする。

(3)企業・組織や団体からの特許権使用料については、1つの権利使用料が年間100万円以上とする。

(4)企業・組織や団体から、会議の出席(発表、助言など)に対し、研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当(講演料など)については、一つの企業・団体からの年間の講演料が合計50万円以上とする。

(5)企業・組織や団体がパンフレット、座談会記事などの執筆に対して支払った原稿料については、1つの企業・組織や団体からの年間の原稿料が合計50万円以上とする。

(6)企業・組織や団体が提供する研究費については、1つの企業・団体から、医学系研究(共同研究、受託研究、治験など)に対して、申告者が実質的に使途を決定し得る研究契約金の総額が年間100万円以上のものを記載する。

(7)企業・組織や団体が提供する奨学(奨励)寄附金については、1つの企業・団体から、申告者個人または申告者が所属する講座・分野または研究室に対して、申告者が実質的に使途を決定し得る寄附金の総額が年間100万円以上のものを記載する。

(8)企業・組織や団体が提供する寄附講座に申告者らが所属している場合とする。但し、申告者が実質的に使途を決定し得る寄附金の総額が年間100万円以上のものを記載する。

(9)その他、研究とは直接無関係な旅行、贈答品などの提供については、1つの企業・

組織や団体から受けた総額が年間5万円以上とする。

但し、開示基準(1)「企業や営利を目的とした団体の役員,顧問職」とは,研究機関に所属する研究者が特定企業の役員,顧問職に就任し,契約により定期的にかつ継続的に従事し報酬を受け取る場合を意味しており,相手企業からの依頼により単回でのアドバイスなどの提供は開示基準(4)「企業や営利を目的とした団体より,会議の出席(発表,助言)に対し,研究者を拘束した時間・労力に対して支払われた日当,講演などの報酬」として申告すること.

さらに,(6)、(7)については、すべての申告者は所属する部局(講座、分野)あるいは研究室などへ関係する企業や団体などから研究経費、奨学寄附金などの提供があった場合に申告する必要がある。なお、企業などから提供される研究費・寄附金に係る判断基準額については,申告者が実質的に使途を決定し得る金額を申告すると明確に示した.申告された内容の具体的な開示、公開の方法については所定の様式に従う。

Ⅵ.医学系研究、特に侵襲性のある介入研究実施にかかる注意事項

1)新薬承認のための治験は GCP (Good Clinical Practice)を遵守して実施される。市販後の医薬品を用いた研究者主導の大規模介入研究は医薬品の有効性、安全性の検証と、臨床現場での適正化使用或は標準的な治療法に重要な情報と根拠を提供するものであり、倫理指針に基づいて実施される。後者は、企業にとって販売促進の視点から市販後臨床試験への関心が高く、いろいろな形での協力や支援(資金、労務など)がなされることからバイアスリスクが高く、疑惑が発生しやすいと指摘されている。会員はヘルシンキ宣言、医学系研究に関する倫理指針、COI指針、全国医学部長病院長会議公表の「研究者主導臨床試験の実施にかかるガイドライン」および法令等を順守しなければならない。会員はいかなる介入研究の実施においても研究対象者の人権・生命を守るための特段の配慮が求められる。

2)会員が侵襲性のある介入研究を自主的に研究者主導で実施する場合、企業・組織・団体・個人等からの外部資金、医薬品・医療機器或は専門的な知識・技術を持つ人材による役務を受け入れる機会が多い。そのためには、所属機関を窓口として、契約により実施する臨床研究は、共同研究あるいは委託受託研究として対応し、資金提供者の成果責任を明確にし、使途制限、対価、役割分担について明記すべきである。一方、使途制限のない奨学寄附金や研究資金の受け入れは研究者主導臨床研究の資金源として可能である。外部資金として共同研究費、受託研究費または奨学寄附金(unlimited grant)が介入研究に使われる場合、本学会の申告基準額以上であれば資金源(funding source)として当該資金提供者とその役割を研究成果公開時に明記し、公開を原則に透明性の確保に努めなければならない。

3)医学系研究結果が医療従事者、患者、その他の人々に幅広く利用できるようになることは、公益につながる.従って、人間を対象としたすべての医学系研究の実施に際しては、公的なデータベースを通じて登録し、研究結果は原則的に論文の形で公表されなければならない。

4)論文の作成・公表にあたり、国際標準(ICMJE Recommendations)を念頭に著者資格を明確にしなければならない。著者資格の基準を満たさないメディカルライター、統計専門家、その他の支援を受けた人々(所属)に対しては謝辞の項目にて明記し、資金源及びその他の利害関係も記載・公開する。特に、契約を基に利害関係者から労務・役務の形で臨床研究の実施あるいは論文作成の過程で支援を受ける場合には透明性を確保するためにそれぞれの役割を明記しなければならない。また、研究責任者と関係する企業の両者は、疑義があれば説明責任を共に果たさなければならない。

5)派遣された企業所属の研究者が派遣研究者、社会人大学院生、非常勤講師などとして研究機関に所属し、研究成果を講演あるいは論文発表する場合には、当該企業名も明記しなければならない。

6)企業に所属していた者が異なる研究機関に転職した場合、その後5年間は当該企業に関係する研究成果を発表する際、所属していた元企業名も併記しなければならない。

Ⅶ. COI状態との関係で回避すべき事項

1.対象者の全てが回避すべきこと

医学系研究の結果の公表(研究結果の学会発表や論文発表)や診療ガイドラインの策定などは、わが国の医療の質の向上に大きく貢献しており、純粋に科学的な根拠と判断、あるいは公共の利益に基づいて行われるべきである。本学会の会員などは、医学系研究の結果とその解釈といった公表内容や、医学系研究での科学的な根拠に基づく診療(診断、治療、予防)ガイドライン・マニュアルなどの作成について、その医学系研究の資金提供者・企業の恣意的な意図(不当な取引誘因や販売促進の手段等)に影響されてはならず、また影響を避けられないような契約を資金提供者などと締結してはならない。

具体的には、以下については回避すべきである。

(1)臨床試験研究対象者の仲介や紹介に係る契約外報奨金の取得
(2)ある特定期間内での症例集積に対する契約外報奨金の取得
(3)特定の研究結果に対する契約外成果報酬の取得

2.研究責任者・研究代表者が回避すべきこと

医学系研究、特に臨床試験、治験などの計画・実施に決定権を持つ研究責任者・研究代表者には、次の項目に関して重大なCOI状態にない(資金提供者との利害関係が少ない)と社会的に評価される研究者が選出されるべきであり、また選出後もその状態を維持すべきである。

具体的に、研究責任者・代表者は、当該研究に関わる資金提供者との金銭的な関係を適正に開示する義務を負っており,以下に記載する事項については特に留意して回避すべきである. 

(1)当該研究の資金提供者・企業の株式の保有および当該企業の役員等
(2)研究課題の医薬品、治療法、検査法等に関する特許権および特許料を取得している者
(3)当該研究の資金提供者・企業からの学会参加に対する正当なる理由以外の旅費・宿泊費等の受領者
(4)当該研究にかかる時間や労力に対する正当な報酬以外の金銭や贈与の取得者
(5)研究機関へ派遣された企業所属の派遣研究者,非常勤講師および社会人大学院生が当該研究に参加する場合,実施計画書や結果の発表において当該企業名を隠ぺいするなどの不適切な行為

(6)当該研究データの集計,保管,統計解析,解釈,結論に関して,資金提供者・企業が影響力の行使を可能とする状況

(7)研究結果の学会発表や論文発表の決定に関して,資金提供者・利害関係のある企業が影響力の行使を可能とする契約の締結

但し、(1)~(4)に該当する研究者であっても、当該医学系研究を計画・実行するうえで必要不可欠の人材であり、かつ当該医学系研究が社会的に極めて重要な意義をもつような場合には、その判断と措置の公正性および透明性が明確に担保されるかぎり、当該医学系研究の研究責任者・代表者に就任することができるが、社会に対する説明責任を果たさなければならない。また、企業との契約内容が(5)~(6)に該当する可能性がある場合には,実施結果の公表時に資金提供者の役割と関与の詳細を論文末尾に記載し公開しなければならない.

Ⅷ.実施方法

1.会員の責務

会員は医学系研究成果を学術講演などで発表する場合、発表者のすべては当該研究実施に関わるCOI状態を発表時に、本学会の所定の書式で適正に開示するものとする。研究などの発表との関係で、本指針に反するとの指摘がなされた場合には、当該会員はその趣旨を理解し全面的に協力しなければならない。理事会(理事長)はCOIを管轄する委員会(以下、利益相反委員会と略す)に審議を求め、その答申に基づき、妥当な措置方法を講ずる。

2.役員などの責務

本学会の役員(理事長、理事、監事)、学術講演会担当責任者(会長など)、各種委員会委員長、特定の委員会委員、および作業部会の委員は本学会に関わるすべての事業活動に対して重要な役割と責務を担っており、当該事業に関わるCOI状態については、就任する時点で所定の書式(様式3)にしたがい自己申告書(就任時の前年から過去3年間)を提出しておかなければならない。また、就任時の年、或いはその後、新たにCOI状態の変更が生じた場合には、8週以内に様式3によって追加申告を理事長宛に行うものとする。理事長は当該事業の公明性、中立性を確保するため、役員等の人事に関して適切に管理しなければならない。

すべての役員(編集委員会の編集長、編集委員を含めて)は就任時にCOI自己申告書の提出が義務付けられる。また、査読にかかわる編集委員あるいは査読者もCOIマネージメントの対象者として含められる。基本的には、査読を依頼する場合、投稿論文筆者との間にCOI状態があるか否かの判断は査読候補者に委ねるべきで、査読結果に対してCOIの説明責任が果たせないと判断した場合には辞退を可能とする。学術講演や学術雑誌による研究成果の情報発信は社会還元への大きな道筋であり、それらが公明性、中立性を担保しているかどうかの説明責任は、最終的に理事長が果たさなければならない。

3.利益相反(COI)委員会の役割

利益相反委員会は、産学連携による医学研究、臨床研究、臨床試験の推進を前提にして、研究者の立場に立ってCOI状態を適正にマネージメントするためのアドバイザー的な役割を果たしていく。また、重大なCOI状態が会員に生じた場合、あるいは、COIの自己申告内容が不適切で疑義があると指摘された場合、当該会員のCOI状態をマネージメントするためにヒアリングなどの調査を行い、その結果を本学会の長に答申する。

COI委員会は、理事長の諮問のもとに下記の所掌事項を取り扱い答申する。

(1)COI状態にある会員個人からの質問、要望への対応(Q & A作成)
(2)役員および発表者(非会員含む)の事業活動においてバイアスリスクにかかるCOI状態の判断ならびに助言、指導
(3)研究倫理、出版倫理の教育研修にかかる企画立案への協力と啓発活動
(4)会員個人のCOI申告に関する疑惑が生じた時の調査活動、改善措置の勧告に関すること
(5)COI指針の見直し、改訂に関すること

4.理事長の役割

理事長は、役員などが本学会の事業を遂行するうえで、重大なCOI状態が生じた場合、あるいはCOIの自己申告が不適切であると認めた場合、利益相反委員会に諮問し、答申に基づいて改善措置などを指示することができる。

5.学術講演会責任者の役割

学術講演会責任者(会長)は、発表者(非会員も含む)が医学系研究の成果を発表する場合に所定の様式にてCOI開示が適切に行われているかどうかの検証をしなければならない。特に、企業などが関わる医学系研究結果の発表に際しては、発表内容が中立的な立場で公平に公表されているかどうかを聴衆が判断できる環境を提供することにあり、本指針を順守せず、COI開示をしない発表については公表の差し止めなどの措置を講ずることができる。この場合には、速やかに発表予定者に理由を付してその旨を通知する。なお、これらの

措置の際には利益相反委員会に諮問し、その答申に基づいて改善措置などを指示することができる。

6.編集委員長の役割

基本的に、日本医学会医学雑誌編集ガイドライン(2015)に準拠して対応する。COI管理の視点から、学会機関誌などの刊行物で、医学系研究にかかる原著論文、総説、診療ガイドライン、編集記事、意見などが科学性、倫理性を担保に中立的な立場で公表されることが基本原則であり、学会誌編集委員長は、それらの実施が関係する倫理指針や本指針に沿ったものであることを検証し、発表内容の質とともに信頼性の確保を行わなければならない。

公表された論文等について誤った記載が発覚したり、誠実性 [honesty] や公正性 [integrity] についての疑問が生じることがある.研究の誠実性や公正性に関して疑問が生じたり、ミスコンダクトの申立てがあった際の編集者の対応として、日本医学会医学雑誌編集者会議(JAMJE)では、Committee on Publication Ethics (COPE:出版倫理委員会) (http://publicationethics.org/) から公表されている手順に従うことを推奨しており、その中にCOI開示も含まれている。

1)投稿論文のCOI管理

医学系研究の実施から結果公表過程(研究資金源、企画とデザイン、プロトコール作成、データ集計と処理、データ管理と解析、論文作成など)にかかる著者と企業および企業関係者の具体的な役割に関する情報や著者のCOI状態を記載させ、論文公表に際して両者の利害関係のより一層の透明化を図るとともに、研究内容の中立性、公平性の確保が基本原則となる。そして、すべての著者は公表された研究結果の質と信頼性に対しては責任を負わなければならない。公表される研究結果の判断者は社会(国民、患者、医師など)であり、そのための透明性の確保が大前提でもある。

(1)和文雑誌の発表者

和文雑誌の発表者は会員であることが多いので、各分科会における学術集会・講演会におけるCOI申告書と同じ項目で対応が可能であるが、非会員の投稿者についても当該分科会のCOI指針に従う事の了解を得て、所定の様式にて全著者はCOI状態の開示をしなければならない。

(2)英文雑誌の発表者

学術雑誌の論文発表に際して、欧米の学会ならびに雑誌社から著者に求められるCOI自己申告書の様式は多様であるが、本学会では医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)が提案のCOI disclosure formsを参考に英文誌編集委員会が作成する。また、ICMJE公表のRecommendations for the Conduct、 Reporting、 Editing、 and Publication of Scholarly Work in Medical Journals (Updated December 2014)および日本医学会医学雑誌編集ガイドライン(2015)を参考とし対応する。

著者は研究の公正性と信頼性を確保するために,論文内容に関係する企業などとのCOI状態を所定の様式に従い自己申告し、契約にて行われる企業との医学系研究については,企画,プロトコール作成,実施, モニタリング,監査,データ集計,統計学的解析,データ解釈,論文原稿作成,レビューなどにおける資金提供者(企業関係者等)の役割と関与を当該論文の末尾へ明確に記載しなければならない。英文論文と和文論文について記載法を例示する(図1.一方,規定されたCOI状態がない場合も,「The authors state they have no conflicts of interest」などの文言を同部分に記載する.

製薬企業から契約にて研究支援を受けた研究成果公表時の記載

和文論文における記載例

2)COI違反者への対応

編集委員会は、当該論文掲載後に本指針に違反(虚偽の申告など)していたとする情報が提供された場合、COI委員会との連携にて事実関係を再確認し、本指針に反する場合にはその内容に応じて改善や掲載の差し止め、論文撤回、謝罪文の掲載を求めるなどの措置を理事長の了解のもとに講ずることができる。この場合、速やかに当該論文投稿者に理由を付してその旨を通知しなければならない。また、当該刊行物などに編集長名でその旨を公開することができる。

  1. 診療ガイドライン、治療指針等作成にかかるCOIマネージメント

医薬品、医療機器の適正使用や治療の標準化に関する診療ガイドラインは医療現場でもっとも関心が高く、影響力の強い指針として使われている。現在、数多くの診療ガイドラインや診療指針などが学術団体から公表され、我が国の医療の質の向上に大きく役立っている。しかし、それらのガイドラインや指針の策定にかかる委員会には専門的知識や豊富な経験を持つ医師が委員として参加するが、関連する企業との金銭的なCOI関係が深い場合も多い。事実、企業側に有利なpublication biasやreporting biasが起こりやすいとの指摘があり。そのような懸念を起こさせないためのCOI管理が必要となっている。

診療ガイドライン策定にかかる委員長および委員の選考は、専門家のガイドライン作成参画を排除するようなものであってはならないが、利益相反の開示をしてきちんと管理することが重要である。ガイドライン作成にかかわるすべての委員のCOI状態とともに、診療ガイドラインを策定する当該学会のCOI状態も日本医学会診療ガイドライン策定参加資格基準ガイダンス(2017)に示されている表1、表2にて当該診療ガイドライン中に開示しなければならない。また、表3に示す金額を超える各項目の基準額のいずれかを超えている委員については、審議には参加することは可能であるが、余人をもって替えがたい場合を除き議決権を持つべきではない。基準額を大幅に超えるような COI状態がある場合には、委員候補は自ら就任を辞退することを検討すべきである。

診療ガイドライン策定参加者のCOI開示記載例 診療ガイドラインを策定する当該分科会のCOI開示(例)診療ガイドライン策定参加者の議決権に関する基準額

表3 診療ガイドライン策定参加者の議決権に関する基準額

もちろん各分科会においてはそれぞれの状況も異なることが予想されるため、内科学会として出すのはあくまで参考のための基準であり、各学会においてはそれぞれの事情に応じていくらを超えたら議決権を持たないようにするのかを決めることが適切である。

8.その他

その他の委員長・委員は、それぞれが関与する学会事業に関して、その実施が本指針に沿ったものであることを検証し、本指針に反する事態が生じた場合には、速やかに事態の改善策を検討する。なお、これらの対処については利益相反委員会に諮問し、答申に基づいて理事会は改善措置などを指示することができる。

Ⅸ. COI開示請求への対応

本学会は所属する会員、役員のCOI状態に関する開示請求が分科会外部(例、マスコミ、市民団体など)からなされた場合、妥当と思われる請求理由であれば、理事長はCOI委員会に諮問し、個人情報の保護のもとに事実関係の調査を含めて、できるだけ短期間に実施し、答申を受けた後、速やかに当該開示請求者へ回答する。

医学系研究成果の論文公表後、当該論文に関して産学連携にかかる疑義を指摘された場合、編集委員会とCOI委員会とが連携して疑義の解明に努め、学会の長は説明責任を果たす。しかし、それぞれの委員会で対応できないと判断された場合、学会の長は外部委員(有識者)を含めた調査委員会にて対応し、疑惑事案の真相解明に向けて迅速にかつ的確に対応し、答申を受けた後、速やかに開示請求者に対して説明責任を果たすべきである。一方、医学系研究が実施された研究機関での疑惑が想定される場合には、研究責任者(研究代表者)として当該研究を実施した研究機関の長に真相解明のための調査報告を求めるべきである。

 

X.指針違反者に対する措置と不服の申し立て

1.指針違反者に対する措置

本学会理事会は、本指針に違反する行為に関して審議する権限を有しており、倫理委員会(あるいは該当する委員会)に諮問し、答申を得たうえで、理事会で審議した結果、重大な指針違反があると判断した場合には、その違反の程度に応じて一定期間、次の措置の全てまたは一部を講ずることができる。

(1)本学会が開催するすべての講演会での発表禁止
(2)本学会の刊行物への論文掲載の禁止あるいは論文撤回
(3)本学会の講演会の会長就任禁止
(4)本学会の理事会、委員会、作業部会への参加禁止
(5)本学会の評議員の解任、あるいは評議員になることの禁止
(6)本学会会員の資格停止、除名、あるいは入会の禁止など

指針違反者に対する措置が確定した場合、当該会員が所属する他の内科系関連学会の長へ情報提供を行うものとする。

2.不服の申立て

被措置者は、当該結果に不服があるときは、理事会議決の結果の通知を受けた日から7 日以内に、理事長宛ての不服申し立て審査請求書を学会事務局に提出することにより、審査請求をすることができる。本学会の理事長は、これを受理した場合、速やかに不服申立て審査委員会(暫定諮問委員会)を設置して、審査を委ね、その答申を理事会で協議したうえで、その結果を不服申立者に通知する。

  1. 不服申し立て審査手続

1)不服申し立ての審査請求を受けた場合、理事長は速やかに不服申し立て審査委員会(以下、審査委員会という)を設置しなければならない。審査委員会は理事長が指名する本学会会員若干名および外部委員1 名以上により構成され、委員長は委員の互選により選出する。利益相反委員会委員は審査委員会委員を兼ねることはできない。審査委員会は審査請求書を受領してから30日以内に委員会を開催してその審査を行う。

2)審査委員会は、当該不服申し立てにかかる倫理・医療安全委員会委員長ならびに不服申し立て者から必要がある時は意見を聴取することができる。

3)審査委員会は、特別の事情がない限り、審査に関する第1 回の委員会開催日から1ヶ月以内に不服申し立てに対する答申書をまとめ、理事長に提出する。

4)審査委員会の決定を以って最終とする。

 

XI.社会への説明責任

理事長は役員および会員のCOI状態について、社会的・道義的な説明責任を果たす必要性が生じた場合、理事会の決議を経て必要な範囲で本学会の内外に開示もしくは公表し、組織としての社会への自己責任と説明責任を果たすものとする。この場合、開示もしくは公開されるCOI情報の当事者は、理事会もしくは決定を委嘱された理事に対して意見を述べる機会を与えられるが、開示もしくは公開について緊急性があり、意見を聞く余裕がないときはその限りでない。

XⅡ.研究倫理、出版倫理に関する教育研修

学会の長は、会員等や編集員会・倫理委員会・利益相反委員会にかかわる委員等の関係者が生命倫理、研究倫理、出版倫理の教育・研修を継続して受ける機会を確保しなければならない。そのためには、認定医或は専門医資格を取得予定あるいは更新するための申請資格条件として倫理教育研修の受講を義務づける。

XⅢ. 内科系関連14学会の連携

本学会は、本指針の見直し作業に関する情報交換などを行うために、「医学系研究のCOI」に係る内科系14学会(日本内科学会、日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本循環器学会、日本内分泌学会、日本糖尿病学会、日本腎臓学会、日本呼吸器学会、日本血液学会、日本神経学会、日本アレルギー学会、日本リウマチ学会、日本感染症学会、日本老年医学会)からなる協議会(略して、内科系14学会COI指針協議会)を設置して、必要に応じて開催する。

XⅣ.指針の改正

本指針は、社会的要因や産学連携に関する指針、法令の改正、整備ならびに医療および研究をめぐる諸条件に適合させるためには、定期的に見直しを行い、改正することができる。

XV.施行日

1.本指針は2010年4 月12日より施行する。
2.本指針は2011年12月16日に改訂し、2012年4 月16日より施行する。
3.本指針は2015年3月17日に一部改定し、2015年4月13日より施行する。
4.本指針は2016年3月18日に改訂し、2016年4月18日より施行する。
5.本指針は2017年3月24日に改訂し、2017年4月17日より施行する。
6.本指針は2017年9月5日に改訂し、2017年9月11日より施行する。

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附1)用語の定義について

 医学系研究にかかる用語の定義は、原則として「ヘルシンキ宣言」の日本医師会日本語訳ならびに厚生労働省「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」等を参考とし、本指針の内容についても出来る限りそれらとの整合性を図った。

1.人間を対象とする医学系研究

  人間(試料・情報を含む。)を対象として、疾病の成因の究明(健康に関する様々な事象の頻度および分布ならびにそれらに影響を与える要因を含む。)および病態の理解や、疾病の予防や医療における診断方法および治療方法の改善または有効性の検証を通じて、国民の健康の保持増進または患者の予後若しくは生活の質の向上に資する知識を得ることを目的として実施される活動をいう。世界医師会公表のヘルシンキ宣言で使用された「human subjects」は日本医師会の日本語訳「人間」を当指針に用いた。

2.臨床研究

  医療における疾病の予防方法、診断方法および治療法の改善、疾病原因および病態の理解ならびに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる医学系研究であって、倫理審査の対象となるものをいう。

① 介入を伴う研究であって、医薬品または医療機器を用いた予防、診断または治療方法に関するもの。

② 介入を伴う研究(①に該当するものを除く。)

③ 介入を伴わず、試料等を用いた研究であって、疫学研究(明確に特定された人間集団の中で出現する健康に関する様々な事象の頻度および分布ならびにそれらに影響を与える要因を明らかにする科学研究をいう。)を含まないもの(観察研究という。)

3.臨床試験

医薬品(ワクチンや生物製剤を含む)、放射線療法、精神療法、手術、医療機器、代替療法等の臨床効果を評価する目的に人間を対象とし適切な科学的原則に従ってデザインされ、実施される介入を伴う研究をいう。目的による臨床試験の分類(臨床試験の一般指針)として、①臨床薬理試験、②探索的試験、③検証的試験(有効性確立のための比較試験、無作為化並行用量反応試験、安全性試験、死亡率/罹病率を評価項目(endpoint)とする試験、大規模臨床試験、比較試験)、④治療的使用(有効性比較試験、死亡率/罹病率を評価項目(endpoint)とする試験、付加的な評価項目(endpoint)の試験、大規模臨床試験、医療経済学的試験)がある。

4.侵襲

研究目的で、穿刺、切開、投薬、放射線照射、心的外傷に触れる質問等、日常生活で被る範囲を超える刺激、研究対象者の身体または精神に対して与える行為をいう。侵襲のうち、研究対象者の身体および精神に及ぼす作用が少ないものを「軽微な侵襲」という。

5.介入

研究目的で、人間の健康に関するさまざまな事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動、医療における傷病の予防、診断または治療のための投薬、検査等を含 む。) 

の有無や程度を制御する行為(通常の診療を超えた医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。)をいう。

6.研究対象者

研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者)および研究に用いられることとなる既存資料・情報を取得された者をいう。

7.研究者等

研究責任者、および研究の実施(試料・情報の収集・分譲を行う機関における収集・分譲の実施を含む。) に携わるその他の関係者を指し、研究機関以外において既存試料・情報の提供のみを行う者および他から委託を受けて研究に関する一部業務に従事する者を除く。

8.研究責任者(principal investigator)

研究計画書を作成する等、研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。

  1. 研究代表者

研究責任者として研究計画書の作成等、研究の実施に携わると共に、複数の施設との当該共同研究の実施に係る業務を統括する者をいう。

10.研究機関の長

研究を実施する法人の代表者、行政機関の長または個人事業主であって、当該研究に関して最終的な責任を有する者をいう。

11.スポンサー(sponsor)

臨床研究の開始、運営、管理および資金等にかかる責任を持つ個人、企業、機関または団体をいう。

12.資金提供者(funder、 funding agency)

臨床研究の実施に必要な資金を提供する個人、企業、法人、機関または団体をいう。

13.重篤な有害事象

① 死に至るもの、② 生命を脅かすもの、③ 治療のための入院または入院期間の延長が必要となるもの、④ 永続的または顕著な障害・機能不全に陥るもの、⑤ 先天異常を来すものをいう。

14.予測できない重篤な有害事象

重篤な有害事象のうち、研究計画書やインフォームド・コンセントの説明文書等において記載されていないもの、あるいは記載されていてもその性質や重症度が記載内容と一致しないものをいう。

15.介入研究

 人間を対象とした侵襲性のある臨床試験をいう。新しい医薬品の製造販売承認に際して申請に必要な資料収集のために行う臨床試験を「治験」といい、承認された医薬品の臨床上の有効性や安全性を研究者が企画発案し検証する介入研究を「研究者主導臨床試験」という。

16.ランダム化比較試験

  恣意的な評価の偏りを排除して、客観的な治療効果の評価を可能にする大規模比較臨床試験の研究手法をいう。

17.研究機関

  研究を実施する法人、行政機関及び個人事業主をいい、試料・情報の保管、統計処理その他の研究に関する業務の一部についてのみ委託を受けて行う場合を除く。

18.共同研究機関

  研究計画書に基づいて研究を共同で実施する研究機関をいい、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し、他の研究機関に提供を行う機関を含む。

19.インフォームド・アセント

  インフォームド・コンセントを与える能力がないと客観的に判断される研究対象者が、実施または継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施または継続されることの決定を理解し、賛意を表することをいう。

20.インフォームド・コンセント

  研究対象者またはその代諾者等(以下「研究対象者等」という。) が、実施または継続されようとする研究に関して、当該研究の目的および意義、方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果( リスクおよび利益を含む。) 等について十分な説明を受け、それらを理解した上で、自由意思に基づいて与える、当該研究( 試料・情報の取扱いを含む。) を実施または継続されることに関する同意をいう。

21.代諾者

  研究対象者の意思および利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者にインフォームド・コンセントを与える能力がないと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。研究対象者が死者である場合を含めていうときは、「代諾者等」という。

22.産学連携活動

研究機関が医学研究に関して企業・法人組織、営利を目的とする団体(以下、企業等)と連携して行う。次の活動が含まれる。

1)共同研究:企業等と研究費、研究者を分担して実施する研究(有償無償を問わない)
2)受託研究:企業等から療法・薬剤、機器等に関連して契約をもとに行う研究
3)技術移転:研究機関の研究成果や特許権等の権利を利用し、企業において実用化
4)技術指導:研究機関の研究者等が企業の研究開発・技術指導を実施
5)研究機関発ベンチャー:研究機関の研究成果をもとに当該研究機関が支援する形でのベンチャー設立
6)寄附金:企業等から研究機関への制限を設けない研究助成のための寄附金
7)寄附講座:企業などから研究機関への寄附金による研究推進のために設置された講座

23.モニタリング

臨床試験が適正に行われることを確保するために、研究計画書にもとづく進捗状況ならびに倫理性、科学性を担保に行われているかについて、研究責任者(研究代表者)が指定したものに行わせる調査をいう。

24.監査

臨床試験結果の信頼性確保のために、臨床試験が適正に行われたかについて研究責任者(研究代表者)が指定したものに行わせる調査をいう。

 

<利益相反委員会委員名>

委員長  代田浩之(順天堂大学)
副委員長 南学正臣(東京大学)
委員   上野義之(山形大学)
     長谷川好規(名古屋大学)
外部委員 掛江直子(国立成育医療研究センター)
     畔柳達雄(兼子・岩松法律事務所)
アドバイザー 曽根三郎(日本医学会利益相反委員会)

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