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病歴要約作成と評価の理念

日本内科学会認定内科医および総合内科専門医資格認定試験における病歴要約作成と評価の理念

 本会では経験した一定数の症例の病歴要約の提出を求め,その評価を筆記試験とは別に行い,資格認定に採用している.これは受験者が一定の研修期間中にどのような症例を担当医として経験し,その患者をどのように診断し,治療したかの過程と,その症例を通じて何を受験者が学んだかを評価するもので,初診時から退院までの関わりの描写と,その患者から何が学びとられたかの考察を明示しなければならない.また,困難な症例・複雑な症例なども選択症例に入れ,研修の様子が浮き彫りになるような配慮も望まれる.

 

 内科医に求められる資質とは疾患の診断・治療のみならず,患者を一人の人間として付き合うことでもあり,出会いから退院後に亘る長い関わりが重要である.認定内科医資格認定試験の受験者は,比較的若い内科医が多く,入院期間中だけの担当で,外来などでのその後の患者との関わりがない場合も少なくないと考えられるが,その患者の入院までの経緯や診断・治療内容,更には未解決課題などが,退院後の別の担当医にも伝わるような病歴要約の作成を心掛けるべきである
 他方,総合内科専門医資格認定試験の受験者の多くは,基本的な診療のスタンスには総合的な観点を常に持ちつつも,現場では内科の特定領域の専門医であるような場合が多く,そのため幅広い疾患の経験を認定内科医取得後に経験することは容易でないことも理解できる.そのため,認定内科医取得以前の経験症例についての提出を認める.更に,副病名の疾患も特定領域の経験症例として提出を認める.但し,この場合,主病名の疾患の記述が主となり,合併症や基礎疾患である副病名の疾患についての記述が不十分となりがちであるため,評価対象は提出分野病名の疾患だけでなく全体の疾患であることを意識し,主病名の疾患との関わりなどを含め,診療の記録や考察を総合内科専門医に相応しい水準で行うことに留意すべきである.

 

 記述様式は新医師臨床研修制度の経験目標に沿って,POS(Problem Oriented System)方式の病歴要約作成を推奨するが,必須ではない.疾患への適切なアプローチや治療,担当医の患者への取り組みの態度や考察などが読み取れるものであれば,様式にはこだわらない.病歴要約のサンプルとして,POS方式とそうでないものも提示しているが,いずれの様式を選択する場合においても,全て同じ様式に統一して作成することとする.評価にあたっては,POSにもその運用作法に種々の相違があるので,様式よりも内容を重視する.患者の問題・病態・病名にあるべきキーワード・推論経緯などがわかりやすく述べられているような,優れた病歴要約の作成を心掛けていただきたい

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