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膠原病

総合考察

成人Still病は,若年性特発性関節炎の全身型(Still病)と同様の病像が成人に発症したものである.1971年,Bywatersにより一つの疾患単位として初めて記載された.高熱,多関節痛および皮疹が特徴的で,その他,肝障害やリンパ節腫脹などの臓器病変を伴う原因不明の全身炎症疾患である.重症となるとHPSを合併することがある.発症は20~40歳代の比較的若年成人に多い.これまでのところ明確な証拠や特定できる病原体は明らかにされていない.免疫学的機序が関与していると考えられているが,現在のところ,関連した自己抗体や自己反応性リンパ球は同定されていない.リウマトイド因子や抗核抗体は陰性である.本疾患の病態形成に重要な役割を演じているのは,炎症性サイトカインであると考えられている.従来から報告のある血清中のインターフェロン-γ,インターロイキン-6,TNF-α,マクロファージ―コロニー刺激因子,IL-8等の増加に加え,最近では特にIL-18は産生の著名な亢進が注目されている.IL-18は活性化マクロファージによって産生され,他の炎症サイトカインを誘導することからAOSDの病態形成に最も中心的な役割をなすサイトカインであると考えられている.また,本疾患の血清中に著増するフェリチンの産生細胞もマクロファージや組織球である.これらのことから,本疾患の特徴的な症状や病態形成に主役を演ずるのは活性化マクロファージ,およびそれにより産生されるサイトカインであると考えられる.治療としては軽症例ではNSAIDsのみで軽快することもあるが,通常ステロイド投与が必要となることが多く,ステロイドの減量が困難な場合,ステロイド抵抗性の場合には免疫抑制剤が考慮される.本症例にはシクロスポリンを使った.妊娠希望であったが,シクロスポリン導入の際には妊娠が困難となる旨(奇形児の発生リスク上昇)を説明し,泣く泣くではあるが同意を得られた.

総合考察

成人Still病は重症化し,血球貪食症候群やDICを合併することがある.ステロイド大量療法に抵抗する場合,CyA療法(Mitamura M. Mod Rheumatol 2009;19:57)やシクロホスファミド療法を実施する.本症例はCyA療法が奏効した.本症例は妊娠希望であったがCyA療法を行った.CyAは添付文書では妊娠時禁忌となっている.今回の病態を改善できる薬で,妊娠時にも安全に使える他の薬は無いことを説明し,同意を得られた.ただCyAは妊娠中でも使用継続が不可欠である臓器移植後の患者での妊娠・出産の報告は多く,比較的安全であるという意見もある(Bar Oz B.Transplantation 2001;71:1051).日本産科婦人科学会の診療ガイドラインにおいても,CyAは特定の状況下では妊娠中であっても投与が必須かもしくは推奨されるとされている.今後CyAを中止できるかは現時点では不明であるが,しばらく治療をしてみて,妊娠を望むなら,その時点でもう一度主治医と相談するようにと説明をした.

修正ポイント

◆教科書を丸写ししたような記載である.
◆高サイトカイン血症の関して触れている.サイトカインを測定していないのに,これを論じるのはおかしい.病歴要約は,経験したことを報告し考察するものである

病歴要約の修正例

・循環器症例 ・腎臓症例 ・神経症例 ・血液症例 ・膠原病症例