専門医部会教育セミナー
専門医部会教育セミナー | |
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開催日 | 2014年10月4日(土) 11:50 – 12:50 |
会場 | 松本市キッセイ文化ホール 松本市水汲69-2 TEL:0263-34-7100 |
世話人 | 信州大学内科学第一 山本 洋 |
詳細は【ICカード(内科学会会員証)による単位登録について】をご参照ください
参加について
- ■参加費
- 無料。事前申し込みも不要です。
総合内科専門医に限らず、どなたでもお気軽にご参加ください。
- ■認定更新単位
- 2単位
内容
- ■演題
- 『肺非結核性抗酸菌症の最近の知見』
- ■講師
- 長野県立須坂病院呼吸器内科・感染症内科 山﨑 善隆
- ■内容
- 非結核性抗酸菌 (nontuberculous mycobacteria、以下NTM)による慢性の肺・気道感染症が増加してきている。NTMは水、土壌など環境中に広く分布し、吸入すると気道に定着・侵入して、気管支・細気管支の周囲に多発する肉芽腫を形成する。
NTMの中で、最も多く臨床分離されるのがMycobacterium avium complex(MAC)で、約80%を占める。肺MAC感染症(以下、肺MAC症)は画像的な特徴から、結節気管支拡張型と線維空洞型とに分類される。結節気管支拡張型は中高年のやせ型女性に多く、自覚症状に乏しく進行は緩徐である。一方、線維空洞型は胸部画像上、肺結核に類似した空洞陰影を肺の上葉に形成し、進行性で予後不良である。
肺NTM症の確定診断は、画像的特徴に加えて、喀痰から2回以上培養陽性が必須である(日本結核病学会2008)。2011年には血清抗MAC抗体が保険収載され、肺MAC症の診断への有用性が検討されている。
肺MAC症の治療の基本は多剤併用療法である。クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの3剤併用療法を長期に施行する必要がある。
肺NTM症と関節リウマチに罹患する年代が近いため、両疾患が併存することがある。抗TNF-α薬を使用すると肺NTM症が増悪するため、生物学的製剤使用に関する診療の手引きが発行された(日本呼吸器学会2014年)。肺NTM症のうち、肺MAC症は多剤併用療法によりコントロールが見込めるので、生物学的製剤は慎重に使用可能である。一方、MAC以外のM. abscessusなどでは、有効な治療法が確立していないので、生物学的製剤使用は禁忌となる。
以上、肺NTM症は多くの内科医にとって知っておくことが望まれる感染症になってきた。その病態、診断、治療、今後の課題について解説する。