内科学会会員向けに提供している『診断困難例ケースサーチ J-CaseMap』(Ver.6)をリリースしました。

【主なバージョンアップ内容】

  • 症例を 25,653症例まで増やしました。
  • 検索のアクセス時間を短縮しました。

 J-CaseMapは、日常の臨床経験から内科学を構築することを目的として、日本内科学会地方会の症例報告を整理したデータベースをもとに作成されました。自治医科大学地域医療センター総合診療部門(松村正巳部門長)の医師をはじめとする約150名の内科医が中心となり、症例報告文の論理を図式化しました。現在も作業は続いており、今回のシステムはそのなかで、研究代表者永井良三(自治医科大学)が修正および用語整理した2万268例を利用しました。また検索に必要な辞書(約5万語の代表語とそれぞれの同義語・検索拡張語)は永井が作成しました。これは確定的診断を行うものではなく、鑑別診断の参考となる疾患や病態をリマインドしていただくためのシステムです。まだ開発段階ですが、会員の皆様に活用いただくために公開しました。
 検索ソフトは小田啓太(元Googleエンジニア、自治医科大学)、粟飯原俊介(自治医科大学)、今井健(東京大学、自治医科大学)、佐藤寿彦(プレシジョン社、医師)が分担して開発し、検索アルゴリズムの一部は特許登録されています(特許6539818)。
 開発にあたっては、平成28年度AMED臨床研究等ICT基盤構築研究事業「人工知能による総合診療診断支援システムの開発」(研究代表者:永井良三)」、令和元年度NEDO Connected Industries 推進のための協調領域データ共有・AI システム開発促進事業「医療情報を横断的に統合した診療支援 AI システムの開発」(研究代表者:佐藤寿彦)の支援を受けました。
 なお今回の追加症例のほとんどは、国立情報学研究所で開発中の汎用型日本語大規模言語モデルLLM-jp 8x13BとLLM-jp 172Bを用いて図式化の下書きをしました。このAI技術は令和5-9年度内閣府第3期戦略的イノベーション創造プログラム「統合的ヘルスケアシステムの構築」(PD:永井良三)の採択課題「大規模医療文書・画像の高精度解析基盤技術の開発」(研究代表者黒橋禎夫京都大学特定教授/国立情報学研究所長)によるものです。

会員の皆様の診療の一助に、引き続きご活用いただければ幸いです。

診断困難例ケースサーチJ-CaseMap