内科学会会員向けに提供している『診断困難例ケースサーチ J-CaseMap』(Ver.7)をリリースしました。
【主なバージョンアップ内容】
- 症例を 30,139症例まで増やしました。
- 検索のための辞書を更新しました。
J-CaseMapは、日常の臨床経験から内科学を構築することを目的として、日本内科学会地方会の症例報告を整理したデータベースをもとに作成されました。当初は、自治医科大学地域医療センター総合診療部門(松村正巳部門長)の医師をはじめとする約150名の内科医が中心となり、約8千例の症例報告文の論理を図式化しました。その後、研究代表者永井良三(自治医科大学)と松村によって作業は続けられ、毎年約5千例の症例を整理してきました。今回のVer.7はそのなかの3万139例を利用しました。検索に必要な辞書(約5万5千語の代表語とそれぞれの同義語・検索拡張語)は永井が作成しました。これは確定的診断を行うものではなく、鑑別診断の参考となる疾患や病態をリマインドしていただくためのシステムです。まだ開発段階ですが、会員の皆様に活用いただくために公開しました。
検索ソフトは小田啓太(元Googleエンジニア、自治医科大学)、粟飯原俊介(自治医科大学)、今井健(東京大学、自治医科大学、カテゴリー4担当)、佐藤寿彦(プレシジョン社、医師)が分担して開発し、検索アルゴリズムの一部は特許登録されています(特許6539818)。
開発にあたっては、最初に、平成28年度AMED臨床研究等ICT基盤構築研究事業「人工知能による総合診療診断支援システムの開発」(研究代表者:永井良三)」、続いて、令和元年度NEDO Connected Industries 推進のための協調領域データ共有・AI システム開発促進事業「医療情報を横断的に統合した診療支援 AI システムの開発」(研究代表者:佐藤寿彦)の支援を受けました。
なお令和7年のVer.6以降に追加された症例は、国立情報学研究所で開発中の汎用型日本語大規模言語モデルLLM-jp 8x13BとLLM-jp 172Bを用いて図式化の下書きをしました(京都大学 八幡早紀子、Cheng Fei、黒橋禎夫)。このAI技術は令和5-9年度内閣府第3期戦略的イノベーション創造プログラム「統合的ヘルスケアシステムの構築」(PD:永井良三)の採択課題「大規模医療文書・画像の高精度解析基盤技術の開発」(研究代表者黒橋禎夫京都大学特定教授/国立情報学研究所長)によるものです。
会員の皆様の診療の一助に、引き続きご活用いただければ幸いです。

