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第117回日本内科学会総会・講演会 開催にあたって

「第117 回日本内科学会総会・講演会」開催にあたって


第117 回日本内科学会総会・講演会 会長
慶應義塾大学医学部 内科学教室(リウマチ・膠原病)
教授 竹内 勤

 令和2 年(2020 年)4 月10 日(金),11 日(土),12 日(日)の3 日間にわたって「東京国際フォーラム」で開催を予定しておりました「第117 回日本内科学会講演会」は,8 月7 日(金),8 日(土),9 日(日)に延期する形で,同会場の東京国際フォーラムにて開催させていただくことになりました.1903年の第1 回内科学会総会が,東京高等商業学校において青山胤通教授を会頭として開催されて以来,本
年で第117回を迎えることとなりました.
 近年の内科学会の発展はめざましいものがあり,会員数も11 万人を超える我が国最大の医学会です.そのなかで会長を拝命いたしましたことは大変な名誉であり,改めてその責任の重さを痛感しております.内科学会の伝統であった会頭という役職名は,第111回以降,会長と変更され,現在に至っております.第117回日本内科学会講演会は,竹内を会長とし,学内の内科学教室7診療科からなる準備委員会を設置し,内科(消化器)の金井隆典教授を事務局長,準備委員会の担当医師の協力をいただき,日本内科学会学術集会運営委員会のご意見を頂戴しながら準備を進めてまいりました.
 第117回日本内科学会講演会のメインテーマは,「革新と伝統が協奏する内科学」とさせていただきました.平成から令和に元号が変わって初めての内科学会となり,時代も大きく変わろうとしております.1964年に行われた東京オリンピックが,東京オリンピック・パラリンピックとして56年ぶりに再び東京にやってくる記念すべき年でもありました.
 状況が一変したのは2020年1 月,中国武漢で原因不明の肺炎の集団発生が報告され,その原因として新型コロナウイルスSARS-CoV-2が同定されました.新型コロナウイルス感染症COVID-19は瞬く間に欧州からアメリカ,そして,日本へと世界を席巻し,3月11日,WHOがパンデミック感染症を宣言するに至りました.治療薬,ワクチンのないこの新興ウイルス感染症に対して,現代医学といえども,立ち向かう術は伝統的な公衆衛生的手法であり,世界各地で検疫と隔離が行われました.日本もその例外ではなく,本来予定されていた学術集会は8 月に延期されることとなりました.しかし,この新型コロナウイルス感染症の最前線で医療に従事しておられる会員にとって,何よりも最新の情報が必要であるとの判断から,4 月12 日には,日本感染症学会の多大なるご支援を受け,日本内科学会サブスペシャルティ各領域の先生方を交えて,新型コロナウイルス感染症緊急シンポジウムを開催させていただきました.
感染症対策と治療の現状に加え,呼吸器,内分泌・代謝,免疫・炎症の内科各領域が一体となって複雑な病態を呈する未知の新型コロナウイルス感染症に対する取り組みを示していただいた意義深いシンポジウムとなりました.改めて,伝統の上に最新医学の革新的技術や戦略を協奏させ,人類への脅威と対峙し克服していく決意を新たにいたしました.
 この半世紀の内科学の飛躍的進歩はめざましいものがあります.私が専門とするリウマチ・膠原病領域の例を挙げるならば,ステロイド薬や非ステロイド性抗炎症薬,メトトレキサート等による治療の時代を経て,病態解析から得られた情報に基づいて創出された生物学的製剤や標的合成抗リウマチ薬が臨床現場に導入され,治療指針の一翼を担う新時代を迎えています.しかし,どれほど優れた革新的な診断法,治療法,治療薬が現れたとしても,それによって伝統的な考え方や治療が姿を消したわけではありません.革新と伝統は,それぞれの長所を活かしながら,両輪の和となって発展を遂げているように感じられます.総会・講演会のメインテーマは,「革新と伝統が協奏する内科学」です.第117回総会・
講演会のポスターには,東京タワーと東京スカイツリーが互いに礼をして向き合って屹立し,革新的な東京と伝統的な江戸の街の姿が描かれていました(ポスターをご参照ください).この図案をそのままに,開催日時を8月7日から9日で,総会は4月に終了しているため,「第117回日本内科学会講演会」として開催させていただきます.
 プログラムは,学術集会運営委員会によって検討されてまいりました.私の専門分野である免疫・炎症学や分子標的治療にもご配慮いただいた素晴らしい企画を立案していただきました.招請講演5題では,最新のトピックスから,日常診療における課題解決に向けた話題まで広範な内容を盛り込んでいただきました.革新的なAI技術や遺伝子解析技術等テクノロジーの進歩がいかに医学・医療分野に応用されようとしているか,「AIを活用した内視鏡研究の動向と今後の展望」,「がんゲノム医療の未来」で講演いただきます.また,最新の治療戦略やガイドラインに関する講演として,「心不全の病態解明と治療開発の進歩」,「CKD対策における診療ガイドラインの戦略的意義」,そして,内科診療で日常よく遭遇する睡眠障害がいかに内科疾患の管理で重要なのかを「内科疾患における睡眠障害の重要性」で解説いただきます.シンポジウムは3 題,「難治性免疫疾患治療の最前線」,「薬剤起因性障害の病態と治療戦略」,「血管性障害と内科疾患」がテーマです.最新の基礎的・臨床的研究成果が発表され,熱い議論が展開されることを期待しています.
 特別講演は,向井千秋さんにお願いいたしました.今から振り返ると信じられないことですが,女性医師で我が国初の宇宙飛行士という,大変貴重な体験をもとに,「チャレンジ精神と医学」をテーマとして,若手医師や研究者にエールを送っていただくようお願いいたしました.宇宙的な視野に立ってパンデミック感染症を考える契機にしていただければ幸いです.
 ロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授らが提唱された人生100年時代を受け,社会の全ての領域で人生100年を踏まえた意識改革が迫られるなか,内科学の担う役割はますます大きくなると感じています.パネルディスカッションでは,「超高齢社会と歩む内科学」をテーマに,国立長寿医療研究センターの荒井秀典教授とフリーアナウンサーの渡辺真理さんに司会をお願いいたしました.行政代表として,厚生労働省医務技監の鈴木康裕先生,大学から慶應義塾大学の伊藤裕教授,地域医療の現場から新横浜在宅クリニックの城谷典保先生,最後に日本医師会の横倉義武会長に講演を頂戴いたします.各演者の先生方には,超高齢社会という視点から見た新型コロナウイルス感染症に対するコメントも頂戴したいと考えております.
 日本における新型コロナウイルス感染症の状況を慎重に見極めながら,一般演題のポスター発表,医学生・研修医が発表する「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2020東京」につきまして,感染症対策を万全にした開催形態を整え,開催可能かどうかの判断をして参りたいと存じます.
 4月に行いました新型コロナウイルス感染症緊急シンポジウムは,8月9日(日)の最終日に再び4カ月後の動向を議論いただきたく,「新型コロナウイルス感染症緊急シンポジウム(2)」を開催し,皆様に引き続いて最新の情報を提供させていただきたく存じます.
革新と伝統が協奏する内科学が活発に議論される様子をぜひご覧いただきたく,LIVE配信を主体に,会期終了後のオンデマンドにて配信させていただきますので,ご参加くださいますよう重ねてお願い申し上げます.第117回日本内科学会講演会に,多くの内科学会会員の皆様にご満足いただけますよう努力して参ります.何卒,宜しくお願い申し上げます.

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