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会長挨拶

 「第115回日本内科学会総会・講演会」開催にあたって

 

第115回日本内科学会総会・講演会会長
広島都市学園大学学長・広島大学名誉教授 河野修興

 

 第115回日本内科学会総会・講演会を平成30年4月13日(金)、14日(土)、15日(日)の3日間、京都市の「みやこめっせ(京都市勧業館)とロームシアター京都」において開催いたします。
 平成30年(西暦2018年)は明治維新から丁度150年目に当たります。そこで、講演会のメインテーマは「明治維新150年目の内科学」と命名しました。また、最近は政府も難病対策に特に力を入れていることや近年の日本内科学会講演会のテーマとのバランスを考えて、メインテーマの副題として「難治性疾患への挑戦」を選びました。人間社会を発展させてきた「温故知新」の心構えが重要であることは言うまでもありません。そこで、たかだか70年の戦後レジームの中で疾患を捉えるだけではなく、我が国の医療が西洋医学と遭遇して大きな方向転換を余儀なくされた維新前後にまでは少なくとも遡って、治療困難疾患の病態解明や新たな治療法開発を成し遂げた先人の努力・試みを偲びながら、今、内科診療で行うべき最新の知識の理解をより深いものにしようという3日間の試みです。
 知識としての医学は、当然、国際的です。米国医学の父といわれるウイリアム・オスラー博士は「本を読まずして医学を学ぶことは海図を持たずして航海に出るに等しく、患者を診ずして医学を学ぼうとすることは全く航海に出ないに等しい」と、述べておられます。まさに至言です。一方、国境なき医師団活動やPKOなどの国際活動を除けば、医療制度は国家の所掌するものであることも事実です。日本には世界一の大都会から無医地区と呼ばれる中山間地域・離島まで実にさまざまな地域が存在します。いかなる場所に住んでいる国民にも医療の恩恵をもたらすことが医師の矜持であると思います。江戸時代には「内科は本道」と呼ばれていましたように、どれほど科学や技術が進歩して優れた外科手術やAIが出現して、医師の守備範囲やルールが変わろうとも、「オール日本」の患者さんを最も近い距離で診療し、患者さんに利益をもたらすものが内科医である。医療の中核を内科と呼ぶ。すなわち、内科とは本道であることに違いはないでしょう。医療制度は国家の所掌するものですが、それを支えるのは「オール日本」、すなわち日本に住むすべての日本人でなければならないことも言うまでもありません。「診療は草の根から、研究は国際的に」という考えは高い普遍性を持っています。
 本講演会の特別講演は、がん遺伝子解明の第一人者であるシカゴ大学の中村祐輔教授にお願いしました。また、招請講演5題、シンポジウム3題、パネルディスカッション1題、教育講演20題、その他の試みとして近年の講演会で好評を博している医学生・研修医を対象とした企画、CPC、男女共同参画企画、市民公開講座「市民のためのがんセミナー」などを企画しています。
 本講演会のプログラムやさまざまな企画は本学会の役員・評議員、学術集会運営委員会委員、事務局の皆様方によって生み出されたものです。篤く御礼申し上げます。四月半ばの京都は気候がすばらしく、美しい花々が咲き乱れていることと予想しています。是非とも、我が国最大の医学会である日本内科学会総会・講演会に足をお運びいただき、私たち主催者と一緒に、本道たる内科医療の発展に力強いエールをいただきますことをお願いいたします。
 最後になりましたが、ポスターにあります北野天満宮楼門のスケッチは、二紀会副理事長で早稲田大学名誉教授の藪野健先生の描かれたものです。本スケッチの使用を許可いただきました先生のご好意に紙面を借りて感謝申し上げます。

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