
CPC『頭蓋内腫瘤を認めたHIV感染症の1例』
今回の教育セミナーでは、発熱、意識障害を主訴に見つかったHIV感染症例のCPCを行います。年々増加しているHIV感染者、特にAIDS患者は多様な症状を示すため、HIV感染症専門領域ではなくても診療をする機会が増えてくることが予想されます。専門の先生、研修医の先生方を交えて質疑応答・討論をしていただきます。総合内科専門医だけでなく、臨床研修医などすべての方々が参加可能になっておりますので、奮ってご参加ください。
開催日 | 2024年5月26日(日) |
開催形式 | 現地開催のみ |
現地会場 | 米子コンベンションセンター |
企画 | 専門医部会中国支部 |
世話人 | 川崎医科大学 山根 弘路 |
参加費 | 無料 |
認定更新単位設定 | 【認定内科医・総合内科専門医】2単位 入退場時間記録について |
【内科専門医】[出席単位]:なし [参加単位]:1時間1単位 ※参加時間が問われます 「内科専門医」資格の認定と更新についてのご案内 |
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注意事項 | 単位がパーソナルウェブに反映まで1か月程度かかります 参加状況確認後、事務局にて自動付与いたします。別途申請等を行う必要はありません。 |
- 司会
- 国立病院機構米子医療センター 冨田 桂公
- はじめに
- 川崎医科大学 総合内科学4 山根 弘路
- 症例提示
- 鳥取大学医学部附属病院 感染症内科 岡田 健作
- 質疑応答・討論
- 鳥取県立中央病院 血液内科 小村 裕美
山陰労災病院 脳神経内科 楠見公義
山陰労災病院 大賀俊典(研修医)
鳥取県立中央病院 大坪直人(研修医) - 病理提示
- 鳥取大学医学部附属病院 病理部 桑本 聡士
【主訴】発熱、意識障害
【現病歴】60代男性。X年5月28日、意識変容を認めたため前医を受診。頭部CTで頭蓋内の腫瘤性病変を指摘された。X-5年にHIVスクリーニング検査陽性を指摘されていることが判明し、5月29日当科を初診。6月7日、発熱と意識障害の増悪のため救急要請、当院搬送となった。
【既往歴】高血圧
【アレルギー歴】なし
【生活社会歴】病前のADLは自立、喫煙:20本/日×10年、飲酒:ビール700ml/日
【家族歴】父:胆管癌
【主な入院時現症】身長 172 cm、体重61.3 kg、体温 38.5℃、脈拍 94 /分、血圧 174/113 mmHg、SpO2 98%(room air)、意識レベル JCSⅠ-3、瞳孔 3/3 mm、対抗反射 +/+、眼瞼結膜貧血なし、眼球結膜黄染なし、項部硬直なし、両側頸部に1 cm大の小リンパ節を触知、胸部:心音 清、呼吸音 清、腹部:平坦、軟、圧痛なし、下腿浮腫なし、従命困難のため神経学的診察困難なものの、明らかな運動麻痺・感覚麻痺は指摘できず
【主な検査所見】血液所見: 赤血球400 万/μL、Hb 11.3 g/dL、白血球 2100 /μL、好中球 2%、リンパ球 40%、CD4陽性リンパ球0.3%、血小板 36.2 万/μL、凝固検査:PT-INR 1.08、APTT 34.3 秒、D-dimer 1.6 μg/dL、血液生化学所見:Na 135 mEq/L、K 3.7 mEq/L、Cl 101 mEq/L、Ca 8.1 mg/dL、BUN 14.7 mg/dL、Cr 0.68 mg/dL、TP 8.4 g/dL、Alb 3.1 g/dL、T-bil 0.5mg/dL、AST 20 IU/L、ALT 29 IU/L、ALP 242 U/L、γ-GTP 16 U/L、LD 191 U/L、血糖 111 mg/dL、HbA1c 5.4%、免疫血清学所見: CRP 0.81 mg/dL、HIV抗原/抗体 陽性、胸部X線写真:胸部異常陰影なし、頭部CT:左頭頂葉から後頭葉の白質に浮腫性変化を疑う低吸収域あり、皮質に造影効果を示す腫瘤あり、左側脳室三角部狭小化あり、右側脳室体部に造影効果を伴う小結節あり、頭部MRI:左頭頂葉から後頭葉にかけ辺縁部に造影効果を有する45×41mm大の腫瘤性病変あり、左側脳室前角部と右側脳室体部に小結節あり、頸部~骨盤部CT:両側頸部から両側腋窩に小リンパ節が多数散見する、縦隔から傍大動脈領域・骨盤内に優位なリンパ節腫大なし、肺野および腹部に特記すべき異常所見なし
【Problem list】
#HIV感染症
#左大脳腫瘤
【入院後経過】HIV感染症としての5年以上の有病期間、CD4陽性リンパ球数の著減、診断未確定であるものの頭蓋内腫瘤を認めることから、臨床的にAIDSと診断した。左大脳腫瘤の診断と並行して日和見感染症のスクリーニングを実施したが左大脳腫瘤を除く活動性の疾患は否定的であった。左大脳腫瘤の鑑別診断として、原発性脳リンパ腫もしくはトキソプラズマ脳症が考慮されたが、ご本人の拒否のため脳生検を実施することは困難であった。インテグラーゼ阻害薬1剤および核酸系逆転写阻害薬2剤による抗HIV療法を開始したが、左大脳腫瘤の増大を認め、治療的診断としてトキソプラズマ症としての治療を開始した。その際に脳浮腫に対しステロイドおよびグリセリン果糖配合剤点滴を併用した。これらの治療により左大脳腫瘤の縮小、CD4陽性リンパ球数回復傾向、HIVのウイルス量減少を認めたが、ご本人の拒否のため治療中断・退院となった。その後自宅で倒れているところを発見され救急要請、再入院となった。頭部CTでは左大脳腫瘤は縮小を維持していたが、血液培養、尿培養から緑膿菌が発育し、尿路感染症に起因する敗血症として治療を行ったが、再入院4日目に急変し死亡された。
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