利益相反委員会

COI指針細則一部改訂理由-印刷用PDF(90.6KB)

日本内科学会は、COI共通指針・細則を2010年に初版を公表した。その後、2012年に公表された日本医学会公表の「COIマネージメントガイドライン」との整合性を図るために、COIマネージメントの対象を「臨床研究」から「医学研究」に拡大するなど、一部を改定した。2013年には、我が国の5大学を中心に実施された バルサルタン臨床研究疑惑から複数論文撤回に至る事案が発生し、医学研究、特に人間を対象とする臨床研究の質と信頼性を確保するための産学連携の在り方が行政、研究機関、法人組織、団体等で議論され、産学連携の健全化に向け、より明確な方針策定が要求されている。今回、本学会は バルサルタン臨床研究事案等(不透明な寄附金授受と役務提供、さらに人為的なデータ操作による研究不正)の再発防止に対応して公表された日本医学会及び全国医学部長病院長会議による産学連携の透明化によるCOIマネージメントの基本的な考え方・内容と本学会COI指針との整合性を早急に図る必要が生じたため、COI指針・細則の一部を改訂することとした。

尚、本委員会では、内外のCOIをめぐる動向変化に対し根本的な対応をするため、産学連携(寄附金の趣旨を活用した外部資金、薬剤・機器、労務・役務等の授受)の透明化に向けた考え方と具体的な対応策、会員の発表にかかるCOI状態の申告様式とそのマネージメントのあり方を示す本学会の指針・細則の全面改訂が必要であるとの結論に達し、平成27年度の継続課題として取り組む予定である。

医学研究のCOIマネージメントにかかる内外の動向と経緯

  1. 2013年度に発生した産学連携にかかるバルサルタン臨床研究事案(COI申告違反、研究不正など)の厚生労働省検討委員会の報告を受け、日本医学会は2014年2月にCOIマネージメントガイドライン改定版を公表した。また、日本学術会議、全国医学部長病院長会議がCOIマネ―ジメントに関する提言、ガイドラインを公表し、再発防止のための具体的な対応を提案している。
  2. 日本製薬工業協会の透明性ガイドラインに基づいて、会員企業は項目C(執筆料・講演料等)の支払い先と支払額詳細について2013年分を公開している。
  3. 国際医学雑誌編集者委員会(International Committee of Medical Journal Editors)は、「Recommendations for the Conduct, Reporting, Editing, and Publication of Scholarly Work in Medical Journals」を2013年12月公表した。ICMJE Recommendationsには産学連携による医学研究成果の公表(資金提供者・関係者の役割開示、COI申告開示、著者資格と共著者責任等)の在り方と考え方が推奨された。
  4. 文部科学省・厚生労働省から2014年12月22日制定の「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が公表され、研究者及び所属機関の長の責任がより一層明確化され、倫理審査、COIマネージメント、研究倫理に係る教育研修を義務化している。また、前回の指針と比較して、内容だけでなく、用語の使い方やそれらの定義も異なっている点も多い。本指針は我が国のスタンダードとなることから、用語および内容等について整合性を図る必要がある。
  5. 国立大学病院長会議から、2014年9月に「企業等からの資金提供状況の公表に関するガイドライン」が公表された。
  6. 全国医学部長病院長会議から「研究者主導臨床試験実施のガイドライン」が、2015年2月18日に公表された。
  7. 日本医学会医学雑誌編集者会議から「医学雑誌編集ガイドライン」が、2015年3月に公表予定である。
  8. 日本医学会 医学研究のCOIマネージメントに関するガイドラインも2015年3月4日に一部改定し公表された。

(2015年3月4日現在)