平成28年7月30日

平成29年度(2017年度)の専門医制度運用について

  日本内科学会は平成29年度(2017年度)の専門医制度に関する判断を7月末にすることをお知らせしておりましたが、平成29年度(2017年度)は、現在の日本内科学会認定医制度を継続することといたします。

  去る7月20日、日本専門医機構において新専門医制度を立ち止まって考える「新たな検討の場 (仮称)専門医研修プログラムと地域医療かかわる新たな検討委員会」が開かれました。この協議を踏まえた日本専門医機構の理事会において、平成29年度(2017年度)からの新専門医制度の正式な開始は見送られ、平成30年度(2018年度)からの一斉開始を目途にすることとなりました。日本専門医機構から新専門医制度全般に関する方針は示されましたが、内科をはじめ、各領域の精査と協議は今後、建設的かつ丁寧に行われるものと思われます。

 新専門医制度の正式な開始に向けた状況は上記の通りですが、内科領域として、新専門医制度の準備に多大なるご尽力をいただきました各施設の関係者の皆様方にこの場をお借りして厚く御礼を申し上げます。また、そのご尽力が平成29年度(2017年度)からの新専門医制度の正式な開始として結実しなかったことを大変心苦しく思っております。

 現在、初期研修2年目の方におかれましては、これからの研修をどのようにしたら良いのか、不安や懸念を抱かれていると思います。新専門医制度の正式な実施が見送られたことから、日本内科学会は、平成29年度(2017年度)は現在の認定医制度を継続いたします。具体的な方針は次の通りとなります。

  • 平成29年度(2017年度)、日本内科学会の認定医制度の研修を行なう方は、現在の認定医制度に基づいた内科系サブスペシャルティ専門医をこれまで通り取得することができます。

  • 新専門医制度の開始の延期に伴い、日本内科学会の認定内科医試験、総合内科専門医試験をそれぞれ、少なくとも平成32年度(2020年度)まで実施いたします(図1参照)。
  • 新専門医制度の実施をめぐって、最も影響を受けた、現在初期研修2年目の方をはじめ、現行の認定医制度で研修を行っている若い世代(認定内科医資格を取得していない方々)につきましては、新専門医制度への移行に際して不利益を被ることがないように、措置を設けることといたします。措置の詳細につきましては、会員の方々や各所の意見をいただきながら取りまとめ、日本専門医機構とも協議を行います。
  • 日本内科学会の各認定施設(教育病院、教育関連病院)の皆様におかれましては、 平成29年度(2017年度)は、研修医の方々が認定内科医を取得できるような体制でのご準備をお願いいたします。
    但し、すでに新専門医制度に向けて準備した新しい施設連携体制で平成29年度(2017年度)の研修を実施する場合は、日本内科学会事務局へご連絡をお願いいたします。その連携に現在の認定医制度に参加していない施設が含まれることがあるかもしれませんが、個別に内容を確認し、研修体制上、特段の問題がなければ、その取り組みも認めます。
    平成29年度(2017年度)につきましては、認定医制度の継続を前提に、各認定教育施設の取り組み体制を出来る限り尊重したいと思います。

以上

 来年度の方針につきましては上記の通りとなりますが、より具体的な内容につきましては、皆様からのお気付きやご指摘もあるかと存じます。そのような点も踏まえて検討し、逐次ご案内いたします。当面はできるだけ頻回に各種情報、あるいは日本内科学会の見解などを公表いたします。


 

平成30年度(2018年度)開始予定の新専門医制度について

 6月20日の声明でも取り上げましたが、新専門医制度における内科とサブスペシャルティの研修の在り方につきまして、日本内科学会と内科系サブスペシャルティ学会とも協議の上、次のような見解を取りまとめ、日本専門医機構に要望として提示し、日本専門医機構からも概ねご理解をいただいております。

  •  内科とサブスペシャルティの並行研修(開始の時期を特に定めない)を認め、それぞれ所定の研修を修了できた場合、これまでと同様の年数でサブスペシャルティ専門医の受験を可能とする道筋を用意する(図2参照)。

    (「並行研修」:基本領域(内科)研修中に、基本領域に含まれるサブスぺシャルティ領域を専門医になるために経験し、それをサブスぺシャルティ領域の専門研修として認めること)

  また、新専門医制度に参加する各施設の関係者のご尽力により、内科研修の質を担保しつつ、全国344全ての二次医療圏を網羅する研修体制を敷くことが可能となりました。内科領域としての定員調整につきましても、各施設の皆様のご理解をいただき、定員設定を現在の認定内科医受験者の1.52倍(6大都市圏では1.29倍)にまで調整することができました。この調整につきましては、都市部からも地方からもまだ様々なご意見があるかと存じます。(※6大都市圏:東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)

 各施設の皆様におかれましては、審査に基づいたプログラム内容の修正にぎりぎりまでご協力をいただきました。残念ながら新専門医制度の正式な開始は延期となりますが、今回のプログラム審査結果を元に、研修の現場に携わる方々、日本専門医機構をはじめとした関係各所のご理解をいただきながら、新専門医制度を作り上げていくことになると思います。日本専門医機構での正式なプログラムの認定に関する情報は、後日改めてお知らせいたします。

 新専門医制度の正式な開始にあたっては、今しばらく時間がかかりますが、この間、新たな研修医の方が安心して研修に臨むことができるよう、準備を進めていきます。その中で、新専門医制度のプログラム応募の在り方につきましても、吟味しなければならないと思います。
 準備が進められてきた新専門医制度では、研修医がプログラムへ応募する際、応募が一つのプログラムに限られていました。この応募体制は研修医の方々にとって不安を与えるものになっていたと思います。このままでは都市部や地方、そして診療科の選択にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。日本内科学会は、この体制を見直し、研修医の方々が安心して複数の応募ができるよう、働きかけを行なってまいります。
 応募の件にかぎらず、不安材料を払拭し、研修医の方々にとって安心できる研修体制を作ることが、ひいては国民への安心・安全な医療提供にも繋がるものと思います。

 

一般社団法人日本内科学会
理事長 門脇 孝

 

図1
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図2
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(画像をクリックすると拡大されます)


本文書のPDFファイルはこちらから


6月20日公表の声明文書

(本件に関するお問い合わせは shinseido@naika.or.jp までお送り願います)