専門医部会教育セミナー
専門医部会教育セミナー | |
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開催日 | 2015年6月20日(土) 12時45分~13時45分 (地方会 第3会場) |
会場 | 仙台国際センター 仙台市青葉区青葉山 TEL:022-265-2211 会場案内図・交通案内 |
世話人 | 東北公済病院宮城野分院 佐藤 秀隆 |
企画責任者 | 岩手県立中央病院神経内科 大澤 宏之 岩手県立中央病院総合診療科 川村 実 |
司会 | 岩手県立中央病院総合診療科 池端 敦 |
症例提示者 | 岩手県立中央病院消化器内科 城戸 治 |
病理所見提示者 | 岩手県立中央病院病理診断センター 佐熊 勉 |
参加について
- ■参加費
- 無料。事前申し込みも不要です。
総合内科専門医に限らず、どなたでもお気軽にご参加ください。 - ■認定更新単位
- 2単位
内容
- ■症例
- 『診断に難渋した肝不全の1例』
- 【症例】
- 83歳、女性
- 【主訴】
- 食欲低下、倦怠感、肝機能障害
- 【既往歴】
- 30歳 虫垂切除、71歳 脳梗塞、72歳 大腸ポリープ切除
高血圧症、胆嚢ポリープ、脂肪肝にて近医通院中
飲酒歴 なし 喫煙歴 なし - 【家族歴】
- 母:腎臓病(詳細不明)
- 【現病歴】
- 4月の定期採血では軽度肝障害を指摘されていた。5月中旬より食欲低下、倦怠感を自覚するようになり、近医でおこなった腹部超音波では脂肪肝と肝左葉腫大を指摘された。6月10日、肝機能障害の増悪を認め精査目的のため近医に入院となった。腹部CTにて肝内に散在する不均一濃染領域と一部腫瘤形成を認めた。7月17日に肝生検を行い、異形リンパ球様細胞の集簇を認めた。
7月26日、ご家族の事情あり当院へ転院となる。 - 【入院時現症】
- 身長145cm、体重54kg、体温37.9℃、血圧122/68mmHg、眼瞼結膜に貧血あり。眼球結膜に黄疸なし。頚部などの体表リンパ節触知せず。心雑音なし、ラ音なし。腹部聴診上、蠕動運動は正常。腹部触診上、膨満、右季肋部に圧痛を認める。両下腿に圧痕を伴う著明な浮腫を認め、右足背遠位部および左肘関節に紫斑を認める。
- 【検査所見】
- WBC 4930/mm3、Hb 10.7g/dL、Plt 7.7×104/mm3、TP 5.3g/dl、ALB 2.7g/dl、T-bil 2.6mg/dl、AST 58U/l、ALT 48U/l、LDH 321U/l、ALP 564U/l、γGTP 44U/l、BUN 8.8mg/dL、Cre 0.41mg/dL、Na 135.9mEq/l、K 4.34mEq/l、Cl 102.8mEq/l、CRP 1.03mg/dL、T-Cho 119mg/dl、TG 43mg/dl、AFP 2.3ng/ml、CEA 1.4ng/ml、CA19-9 2.0>U/ml、CA125 105.7U/ml、SCC 0.4ng/ml、NSE 8.2ng/ml、 PIVKA II 28MAU/ML、抗核抗体 40倍、抗ミトコンドリア抗体(-)、PR3-ANCA 10EU未満、MPO-ANCA 10EU未満、ヒアルロン酸 14000ng/ml、Ⅳ型コラーゲン7S 580ng/ml、HBsAg(-)、HCVAb(-)、HIVAb(-)
- 【画像所見】
- CT;肝のびまん性腫大低吸収。門脈周囲の限局した造影効果が経時的に拡大し600sでほぼ肝全体が造影された。S4に33mmの乏血性腫瘍を認めた。腹部超音波;肝全体に低エコーを示した。S4 類円形低エコー腫瘍。ソナゾイド造影にて大きな門脈域周囲から造影剤の肝全体へ血流を認めたが実質の造影効果は悪く、門脈域周囲から徐々に広がる造影剤のプールを認めた。
- 【入院後経過】
- 高齢、肝予備能の低下あり抗がん剤等の積極的治療は適応とならず再度の生検等侵襲的検査はご希望されず。ヘパリン投与にて溶血に伴う変化は緩やかに改善傾向を認めたが肝腫大は進行し9月末永眠された。病理解剖を行った。
- 【臨床上の問題点】
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- 画像、血液検査では生前に診断ができなかった。
- 診断できたとして、有効な治療はあったのか