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教育セミナー(北海道)
イベントを読み込み中

第5回 内科臨床学習セミナー

託児室を設置いたします

無料でご利用いただける託児室をご用意いたします。ぜひご利用ください
(お申し込み受付は終了いたしました)

開催日 2019年7月6日(土) 16時15分~17時45分
会場 北海道大学臨床講義棟 2階 臨床大講堂(地方会A会場)
札幌市北区北15条西7丁目 TEL:011-716-2111
企画 専門医部会北海道支部
世話人代表 北海道大学腫瘍内科 竹内 啓
参加について 参加費:無料 / 受付時間:16時~17時35分
◆事前予約不要でお住まいの地域に関係なくご参加いただけます
認定更新単位設定 参加:2単位 / 単位登録時間:16時~17時55分 (セミナー終了後)
その他 ◆参加・単位登録とも必ず上記受付時間内に済ませください
◆代理出席・登録は認めません

テーマ『内科疾患アップデート~2019年』

内科医として、一般診療で遭遇する臨床症状に対応するノウハウを勉強することを主旨としている会です。専門領域の最新の内容について講義をしていただきます。質疑応答は行いません。総合内科専門医だけでなく、認定内科医、あるいは臨床研修医などすべての方々が参加可能になっておりますので、奮ってご参加ください。

企画担当者
日本内科学会北海道支部代表 秋田 弘俊
司会
北海道大学腫瘍内科 竹内 啓
プログラム
  1. 「中枢神経脱髄疾患 最近の話題」
    札幌医科大学医学部神経内科学講座 久原 真

    中枢神経脱髄疾患の代表的疾患である多発性硬化症 (Multiple sclerosis; MS)は時間的多発性 (Dissemination in time; DIT)・空間的多発性 (Dissemination in space; DIS)を呈する中枢神経系自己免疫疾患でもあるが、本邦において、近年患者数が急激に上昇する傾向にある。一方で、その診断法や治療戦略は徐々に進化している。頻用されているMcDonald診断基準は数年ごとに改訂されているが感度を高くする傾向にあり、早期診断を果たし早期からの疾患修飾薬 (Disease modifying drug; DMD)を用いることで二次進行型MSへの移行を阻止することが重要と考えられている。また抗アクアポリン4 (AQP4)抗体の発見を端緒に、それまで視神経脊髄型MSと考えられていたものが、異なる疾患概念である視神経脊髄炎 (Neuromyelitis optica spectrum disorders; NMOSD)であることが明らかになった。MSとNMOSDは治療方針が異なるため、正確な診断が求められる。さらに最近、抗ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白 (Myelin oligodendrocyte glycoprotein; MOG)抗体陽性の中枢神経脱髄疾患の存在も明らかになってきた。診断と治療を中心とした最近のMS診療について概説し、これまでMSの亜型と考えられてきた自己抗体が関与するNMOSD、抗MOG抗体陽性脱髄疾患における臨床的異同の知見も併せて紹介したい。

  2. 「最近の糖尿病治療と腎症重症化予防プログラム」
    旭川医科大学内科学講座病態代謝内科学分野 安孫子亜津子

    糖尿病治療薬として、SGLT2阻害薬による心保護や腎保護のエビデンスが報告され、使用する患者層は以前よりも厚くなってきている。一方で増加する高齢者糖尿病患者に対するDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬といったインクレチン関連薬に関する評価は高く、わが国の糖尿病治療薬の主体となっている。現在の糖尿病治療では、単に血糖値を低下させるのみならず、糖尿病患者の長期予後を改善できる治療薬が望まれ、個々の病態や生活にマッチした最適な治療法を選択する必要がある。

    人工透析導入原疾患として糖尿病腎症が第1位となってから約20年以上が経っており、2016年4月に厚生労働省が国レベルの「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を公表し、その後、各自治体にて地域に応じたプログラムを策定し、実行している。糖尿病性合併症の重症化する人は、未受診・受診中断例が多く、健診からの受診勧奨を強めることは最も重要なミッションである。さらに、医療機関に通院していてもコントロールが難しい患者に対して、保険指導の介入を行うことで、食事を含めた生活習慣の改善が期待できる。このプログラムの策定や実行に際し、行政と医療機関との連携や、かかりつけ医と専門医の連携がさらに強固となり、地域の実態を認知し、互いに協力し合う重要性が再確認された。

  3. 「神経内分泌腫瘍の薬物療法 -最近の進歩-」
    北海道大学大学院医学研究院腫瘍内科学教室 竹内 啓

    神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor: NET)は内分泌細胞に由来する腫瘍である。約1世紀前に消化管由来のNETはカルチノイド(がんもどき)と命名された。他の悪性腫瘍と比べて比較的悪性度が低いが、実際には遠隔転移を有する症例も少なくなく、誤った認識を与えるとの懸念から、2000年に世界保健機関(World Health Organization:WHO)により消化器領域については、カルチノイドからNETという名称に変更された。一方で肺、気管支領域においてはカルチノイドの呼称がいまだ残存している。

    神経内分泌細胞は全身に分布するため、NETは全身の臓器に発生しうる。消化器に発生するものが約60%、肺や気管支に発生するものが約30%を占める。我が国においては消化器の中では膵臓、直腸に発生するものが多い。NETは比較的稀な腫瘍だが、罹患率は年々増加傾向にあり、健診機会の増加や画像検査機器の進歩、医師の間で認識が広がったことなどが影響していると考えられる。

    転移・再発NETであっても緩徐に進行することも多く、薬物療法が必ずしも最後の治療にはならない。外科治療、薬物療法、肝転移症例においては肝動脈塞栓療法など集学的な治療が必要である。また現在、我が国ではペプチド受容体放射性核種療法の治験が進行中である。

    薬物療法は、Ki-67免疫染色に基づく腫瘍の増殖速度および腫瘍量を考慮して治療内容が判断される。薬物療法の中心は分子標的薬が中心であるが、独特な有害事象があるため、患者教育や遠方居住の患者の場合には地元医療機関との協力体制の構築が肝要である。

    本講演では薬物療法を中心にNET治療の現状や今後の展望について概説する。

  4. 「急速に変貌を遂げる肝がんに対する薬物治療」
    札幌医科大学医学部消化器内科学講座 佐々木 茂

    本邦において、肝癌の死亡率は長らく第3位という不名誉な状況が続いていたが、2000年を境に減少傾向に転じた。2015年には男性で第4位、女性で第6位となっている。ここにはC型肝炎に対するDAA製剤、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤が大きく貢献した。しかしながら、臨床の現場ではまだまだ多くの患者さんに遭遇し、治療に難渋している状況は続いている。

    1980年代より内科的治療としてTACE、PEIT、HAIC、RFAといった治療法が次々に2000年代に向けて開発され、これらの治療法を駆使した集学的治療により、予後も徐々に改善が続いた。一方、薬物治療に関する進展は皆無と言っていいものであった。そのような治療法の変遷の中で、2007年にチロシンキナーゼ阻害薬であるソラフェニブがSHARP試験、AsiaPacific試験において予後改善効果を示し、肝癌に対する初めての分子標的薬として登場した。このソラフェニブの登場以来、肝癌に対する治療法選択は大きな変貌を遂げていった。それまで治療法を見出すことが非常に困難であったadvanced stageの遠隔転移例や脈管侵襲例にも適応となり、また、これまでTACEの繰り返しを行なうことが多かったいわゆるintermediate stageに対しても適応となった。このソラフェニブに続き新規分子標的薬の開発が数多く行われたが、しばらくの間、新規分子標的薬の登場は見られなかった。やっと2017年にソラフェニブの二次治療薬としてレゴラフェニブ、2018年には一次治療薬としてレンバチニブが登場した。今後は、さらにカボザンチニブ、ラムシルマブといった薬剤の登場が待たれるところであり、さらに免疫チェックポイント阻害薬に対しても大きな期待が寄せられている。このように、今後、肝がんに対する薬物治療はさらに急速に変貌することが高い確率で期待できる時代となった。

詳細

日付:
2019年7月6日

会場

北海道大学臨床大講堂
北海道札幌市北区北15条西7丁目 + Google マップ
電話:
011-716-2111
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