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教育セミナー(北海道)[web開催]
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第8回 内科臨床学習セミナー

内科医として、一般診療で遭遇する臨床症状に対応するノウハウを勉強することを主旨としている会です。専門領域の最新の内容について講義をしていただきます。質疑応答は行いません。総合内科専門医だけでなく、認定内科医、あるいは臨床研修医などすべての方々が参加可能になっておりますので、奮ってご参加ください。

開催日 2021年7月3日(土) 14時~15時30分
開催形式 web開催 (会場設定はありません)
企画 専門医部会北海道支部
参加方法 セミナーの参加費は無料ですがセミナーだけの参加はできません。
北海道地方会(参加費1,000円)の事前参加登録が必要になります。
第292回北海道地方会のページ
からご登録ください
お住まいの地域に関係なくご参加いただけます。
認定更新単位設定 セミナーの視聴が確認できた参加者に対し後日2単位を付与いたします
※視聴時間は任意といたしますが、60分以上のご参加をお願いいたします。
その他 セミナーの2単位を取得するためには、上記開催時間内にセミナー会場にアクセスしている必要があります。地方会に参加登録しただけでは取得になりませんのでご注意ください。

テーマ:『内科疾患アップデート~2021年』

企画担当者
日本内科学会北海道支部代表 奥村 利勝
司会
旭川医科大学消化器内科 田邊 裕貴

プログラム

  1. 「本邦における慢性閉塞性肺疾患(COPD)の特徴と治療戦略」
    北海道大学大学院医学研究院呼吸器内科学教室 鈴木 雅

    慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙者が罹患する代表的な慢性呼吸器疾患であり、喫煙者の20%前後が罹患する感受性を有しているとされる。本邦の推定患者数は500万人を超えるが、疾患認知度はまだ低いのが現状である。肺病変は末梢気道病変と気腫性病変が複合的に関与して形成され、閉塞性換気障害が進行する。COPD患者に対する国際共同臨床試験において、日本人患者は全体集団に対して男性の比率が高い、高齢である、BMIが低い、などの特徴があることが複数報告されている。また、欧米と比較して心血管疾患の罹患率も低いとされ、日本人COPD患者の臨床経過は欧米の報告と異なる可能性がある。北海道COPDコホート研究は本邦におけるCOPDの実態と臨床経過を明らかにする目的で施行された10年間の前向きコホート研究であり、日本人COPD患者の臨床経過に関する貴重な知見が得られている。本セミナーでは、北海道COPDコホート研究からの報告を中心として、日本人COPD患者の特徴や臨床経過を概説し、日本人COPD患者の特徴を踏まえた治療戦略について考えてみたい。

  2. 「機能性消化管疾患における最新治療」
    旭川医科大学内科学講座病態代謝・消化器・血液腫瘍制御学分野 田邊 裕貴

    本邦では,2014年に機能性消化管疾患診療ガイドライン-機能性ディスペプシア(FD)が発刊された.Helicobacter pylori(HP)除菌後にディスペプシア症状が改善する病態をHP関連シスペプシアと提案し,2016年のRome IV基準ではディスペプシア症状を呈する患者にHP検査を行い陽性者には除菌治療が提唱された.その後にRome IV基準を用いて世界各国での機能性消化管疾患の有病率が報告されるなどの新たな知見が得られつつある.2017年の慢性便秘症ガイドライン発刊の後に,機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)が加わった.特に,便秘の病態に対して新規治療が開発されたことにより,治療選択肢が大幅に広がった.これらの機能性消化管疾患は高頻度に遭遇するため内科専門医にとってはアップデートが重要である.また,機能性消化管疾患の一つ食道アカラシアは診断と治療が更新され,この数年で世界中の消化器病学会からガイドラインが策定された.本邦発の経口内視鏡的筋層切開術(POEM)が保険収載され,最新の治療が患者に届けられるようになった.

  3. 「慢性腎臓病対策〜治療戦略と北海道の現状」
    北海道大学大学院医学研究院免疫・代謝内科学教室 中沢 大悟

    高齢化と生活習慣の変化を背景に「慢性腎臓病CKD」の患者が増加し、本邦では透析予備軍が1000万人以上、透析患者が30万人を超えた。腎臓病は心臓病、脳卒中など全身の病態と関係して患者の健康寿命を損ない、また高額な血液透析による医療費は総医療費の4%を占め、透析患者の減少、CKD予防対策が喫緊の課題となっている。進行性の腎臓病の患者を減らすには、患者への啓蒙と早期診断、早期治療、適切な介入ができる医療システムが必要である。日本腎臓病協会の指導のもと、医師、看護師、栄養士、薬剤師などの他職種によるチーム医療を構築し、北海道でも地域に根ざしたCKD対策を始めている。CKD診療ガイドラインと北海道の実情を踏まえた専門医への紹介基準、実臨床でのCKD治療の注意点(診断方法、検査方法、食事療法、薬物療法、生活指導等の実際)、CKDの原疾患の半分をなす糖尿病性腎臓病に対する治療の進歩と未来、適切な介入により完治する腎炎・ネフローゼ症候群の現状、高齢化に伴い増加する血管炎症候群の診断と治療、など包括的にCKD対策を概説する。

  4. 「NAFLD/NASHの現況と展望」
    札幌医科大学医学部腫瘍内科学講座 大須賀崇裕

    NAFLDの有病率は、近年の肥満人口の増加を背景に増加しており、検診受診者を対象とした調査において約30%に及ぶとの報告がある。また、NAFLDのうち1-2割はNASHであるとされ、比較的短期間のうちに線維化が進行し、肝硬変、肝発癌にいたる。そのため日常診療でNAFLD患者を拾い上げ、適切な介入を行うことは患者の予後の改善に寄与するため重要である。NAFLD発症に関与する因子として、過栄養状態・肥満が挙げられる。インスリン抵抗性が大きく関与することから、メタボリックシンドロームの肝臓での表現型ともとらえられる。また、2020年4月に代謝異常を伴う脂肪性肝疾患という概念からNAFLDからMAFLD(Metabolic dysfunction-Associated Fatty Liver Disease)への名称変更も提案されている。NASHの発症と進展には、まず肝細胞に脂肪沈着が起こり、種々の要因が加わることで NASH に進展するという、two hit theoryが長らく受け入れられてきたが、近年では腸管や脂肪組織由来のサイトカインやアディポカインなどが段階的ではなく並行して作用して炎症・脂肪変性を起こすとする multiple parallel hits hypothesisが広く支持されている。遺伝的素因の影響も徐々に明らかとなっておりPNPPLA3やTMS6F2などの一塩基多型の関与を示す報告がなされている。近年新薬の開発も進んでおり、国際第Ⅲ相試験で、farnesoid X受容体活性化剤であるオベチコール酸がプラセボに比して有意に肝線維化を改善したと報告されている。肝線維化はNASH の予後と最も相関するとされ肝生検で評価されるが、侵襲的であるため、症例の拾い上げのために、より低侵襲な検査法やスコアリング方法の開発が進んでいる。中でも、エコーやMRI による肝弾性度測定であるエラストグラフィやNAFLD fibrosis score (NFS)が注目されている。本セミナーではNAFLD、NASHについての現段階のコンセンサスの確認に加え、新たな知見の紹介を行う。

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日付:
2021年7月3日

会場

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