開催日 | 2022年2月19日(土) 10時~11時 |
開催形態 | web開催(会場設定はありません) |
企画 | 専門医部会東北支部 |
世話人 | 大崎市民病院 薄井 正寛 |
参加方法 | セミナーの参加費は無料ですが、教育セミナーだけの参加はできません。 第225回東北地方会への事前参加登録が必要になります。 ※お住まいの地域に関係なくご参加いただけます。 |
認定更新単位設定 | 【認定内科医・総合内科専門医】2単位 ※視聴時間は任意といたしますが、60分以上のご参加をお願いいたします。参加登録をしただけでは取得できませんのでご注意ください。 入退場時間記録について |
【内科専門医】[出席単位]:なし [視聴単位]:1時間1単位 ※視聴時間が問われます 「内科専門医」資格の認定と更新についてのご案内 |
|
その他 | 単位がパーソナルウェブに反映まで1か月程度かかります 参加状況確認後、事務局にて自動付与いたします。別途申請等を行う必要はありません |
令和4年度 第1回 教育セミナー
テーマ:『irAE』
プログラム
司会:大崎市民病院 糖尿病・代謝内科 薄井 正寛
- はじめに
- 大崎市民病院 糖尿病・代謝内科 薄井 正寛
- 講演
-
免疫チェックポイント阻害薬による内分泌有害事象のバイオマーカーと発症機序
名古屋大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科 岩間信太郎 - 内容
- 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は種々の進行悪性腫瘍において使用されているが、自己免疫機序の関与が示唆される特有の有害事象(irAE)が発生する。irAEは全身で認められ、間質性肺炎、大腸炎、心筋炎、神経・筋障害、内分泌障害などが報告されており、それぞれ臓器特異的自己免疫疾患に類似した臨床像を呈する。内分泌irAEは頻度が高く、特に甲状腺障害と下垂体障害が高率に認められるが、発症リスクを事前に判別する指標や発症機序は不明であった。そこで我々は、2015年11月より当院でICIを使用した全例を対象に内分泌irAEに関する前向きコホート研究を開始した。これまでの検討から、甲状腺障害の臨床像は破壊性甲状腺炎または甲状腺機能低下症であること(J Endocr Soc 2018)、下垂体障害にはACTH単独欠損症と下垂体炎の2つの病型があること、そしてirAE発症者は非発症者と比し生存期間が延長することを報告した(J Immunother Cancer 2020)。すなわち、irAEを適切に診断して治療することは副作用対策のみでなく患者の生命予後改善において極めて重要であるといえる。そこで次にバイオマーカーの検討を行い、薬剤開始前の甲状腺自己抗体および甲状腺内部エコー不均一が甲状腺障害の高リスク因子となること(Br J Cancer 2020)、血中抗下垂体抗体が下垂体障害の高リスク因子となることを明らかにした(J Immunother Cancer 2021)。発症機序の検討では、下垂体における補体活性化が下垂体障害の発症に関与すること(Sci Transl Med 2014)、CD4陽性細胞傷害性T細胞が甲状腺障害の発症に関与することを示した(Sci Transl Med 2021)。irAEの研究はICI療法の副作用マネジメントに寄与することに加え、臓器特異的自己免疫疾患の発症機序の解明に繋がることが期待される。