腹部救急診療トレーニングコース(AbdEMeT)とは
救急医療の充実に対する社会的ニーズの高まりを背景に、救急受診の高頻度主訴である腹部診療に特化した臨床トレーニングコースを、専門医部会北陸支部がJMECCと「急性腹症診療ガイドライン 2015」との整合性を考慮しつつ、「腹部救急診療トレーニングコース」(abdominal emergency medical training course:AbdEMeT)という名称で開発した。
医学部高学年、研修医、一般内科医、開業医等を対象とした5時間コースで、2011年度より北陸内外で開催され、受講者アンケートの結果等により内容が充実された。受講者には事前学習が課され、コース中に講義、腹部診察と腹部超音波検査の実技練習後に、インストラクターを患者役に見立て、初期対応、医療面接、身体診察、臨床推論、腹部超音波検査を模擬診察し、最後に症例プレゼンテーションを行って終了となり、事後にフィードバックとポイント解説を受ける。受講者からは、おおむね高評価を得ており、具体的内容は日本内科学会雑誌に報告された。
専門医部会では汎用化のためコースのパッケージ化を行い、コースを紹介する体制となり、専門医部会からのコース開催は平成30年度を以って終了した。以後、開催に関する問い合わせは専門医部会からコースを紹介する対応となった。開催施設で同日にインストラクター養成講習会を開催し、独自開催可能になるよう試みられている。
主な講師(所属は記載時点の情報による、敬称略):三原 弘(富山大学)、岡澤 成祐(富山大学)、打越 学(富山市立富山市民病院)、小見 亘(金沢市立病院)、木戸 敏喜(富山大学)、田中 宏昌(TMGあさか医療センター)、古川 彩香(筑波大学附属病院)、仁平 武(水戸済生会総合病院)、万波 智彦(岡山医療センター)、溝岡 雅文(JA広島総合病院)
実施施設一覧(開催順)
- 2011/11/23 金沢医科大学
- 2013/1/27 富山大学
- 2013/12/1 福井県立病院
- 2014/11/23 金沢医科大学
- 2015/11/7 富山大学
- 2015/12/13 広島大学
- 2016/6/11 埼玉協同病院
- 2016/10/29 茨城県・みと文化交流プラザ
- 2017/7/1 富山大学
- 2017/7/8 埼玉協同病院
- 2017/8/11 茨城県・つくば国際会議場
- 2019/2/11 富山大学
今後、実施に関する問い合わせがあれば 腹部救急診療トレーニングコース事務局へお願いしたい。
参考文献
- 三原 弘、木戸 敏喜、岡澤 成祐ら.日内会誌報告:腹部救急診療トレーニングコース開発の試み. 日内会誌2017;106:2662~2668(https://doi.org/10.2169/naika.106.2662(参照 2019/5/28))
- 急性腹症診療ガイドライン出版委員会. 急性腹症診療ガイドライン 2015. 医学書院.(https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0214/G0000779/0001(参照 2019/5/28))