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第121回日本内科学会講演会  開催にあたって

 第121回日本内科学会総会・講演会を,2024年(令和6年) 4月12日(金),13日(土),14日(日)の3日間にわたり,東京国際フォーラムにて開催させていただく運びとなりました.前回は同じ東京国際フォーラムで第120回総会・講演会が開催され、参加者は大還暦を迎えた内科学会の歴史への想いをあらたにされたことと存じます。このように,伝統のある日本内科学会講演会の会長を務めさせていただけることを大変光栄に存じますとともに,その責任の重さを実感する日々です.  
 
 2019年末に突如としてあらわれた新型コロナウイルスに、医療も私たちの生活や常識も一変させられてきました。それでも、人類はちからをあわせてこの新型ウイルスに対峙し、その叡智はこのウイルス感染症の脅威を一定のレベルにまで押し下げ、本邦においても2023年5月をもってこの感染症を感染症法上の5類へと格下げにおいやることに成功しました。
 
 2024年に開催となる第121回総会・講演会は、暦上のくぎりである大還暦後に最初におこなわれる講演会であり、また、いわゆる「コロナ禍」による行動制限がひと段落し、いわば「もとの世界にもどって」はじめておこなわれる講演会でもありますので、「内科学の基本を再考すること」を主眼にいたしました。内科学は実験動物でなくヒトを対象とする学問です。しかし内科医が診療の対象とするのは、生物としてのヒトだけでなく、個人の環境をふくめた「ひと」といえます。内科学がどんなに専門分化しても、もっとも大切なことは内科学の対象が患者という「ひと」であることです。「ひと」は横隔膜より上とか下とか、後腹膜とかにわけられるものではありません。内科医の1つめのタスクは、まず病態を鳥瞰的にとらえ(視る)、診断と治療をおこない(診る)、そして他の医療者とともにケアをおこなう(看る)こと、この3つの「みる」行為です。ところで、Doctorの称号はラテン語docere(おしえる、の意)です。内科医の2つめのタスクは、おしえるものとして、膨大な情報や医学知識を他の医師、学生、医療者、そして患者とシェアすることといえます。最後に、医学知識は、サイエンス、臨床観察、分析、解釈という果てしない連鎖に依存しますが、診療や研究をおこなう内科医はそれらを総合的に常にアップデートして情報発信する必要があります。そして、集積された知識を、疾患の予防と治療のためにいつでも利用できるようにし、それを実行することが内科医の3つめのタスクです。このような考えから、第121回日本内科学会総会・講演会のテーマを、「ひとをみる、おしえる、実行する」としました。内科学の原点がいかにあるべきか、内科医のタスクをどう実践するか、ぜひご参加の皆様と議論させていただきたいと思います。
 
 本総会・講演会では,特別講演1題,招請講演5 題,シンポジウム3題,パネルディスカッション1題,教育講演18題および会長講演1題を企画しています.特別講演には,元北海道大学病院長であり脳神経外科名誉教授でいらっしゃる寶金(ほうきん)清博北海道大学総長がご登壇され、未来の大学やサイエンスの構想についてお話しいただきます。招請講演、横断的な3つのシンポジウム、教育講演は、それぞれの領域のリーディング・エキスパートにより内科学の全領域をカバーして内科学の最新情報を網羅するよう構成されています。パネルディスカッションは、「免疫疾患の病態解明と治療フロンティア」と題して、免疫難病や癌に対する分子標的療法に焦点をあて、内分泌、膠原病、消化器、呼吸器、神経の各領域から抗体や低分子化合物による標的療法のアップデートを議論いただきます。そのほか、今回も医学生・研修医・専攻医が発表する「医学生・研修医・専攻医の日本内科学会ことはじめ 2024東京」を開催いたします。
 
 また、市民公開講座「科学の進歩と未来の医療:2048年の医療はこうなる?」は3月20日(水・祝)に札幌市内でおこなわれますが、全国のみなさまにはオンデマンドで視聴いただけるよう準備をいたします。一般演題発表、各講演会セッションも例年どおりおこなわれます。
 
 第121回日本内科学会総会・講演会のプログラム企画や運営は,学術集会運営委員会,役員・評議員,内科学会事務局の皆様,そして中村昭伸準備委員長や北海道大学大学院免疫・代謝内科学教室のメンバーなど,多くの方々のご尽力を賜りました.この場を借りて厚くお礼申し上げます.
 
 本会が会員の皆様にとって有意義な実りある会になりますことを願ってやみません。

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